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大手総合ディスカウントストア、激安ブランド品は窃盗品?安くてモノは良いカラクリ

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「Thinkstock」より
 国内外に多数の店舗を展開する、大手総合ディスカウントストア・X(仮名)。食料品、日用品、雑貨から家電、さらにはブランド品まで激安とあって、365日ほぼ24時間客でごった返す人気ぶりだ。しかし、痛ましい放火事件で露呈した消防法違反や騒音問題、治安問題、近隣住民との度重なるトラブル。さらにジェット・コースター建設騒動、社内イジメ問題、労働基準法違反なども発覚しているが、その中でも、特によく話題になる「Xのブランド品は本物か?」という疑いについて取材してみた。

●秘訣は「確実なパートナー」「自社内基準」

 Xのブランド品コーナーに無数に並ぶ、激安商品の数々。例えば直営店で買えば1万6800円するグッチのネクタイが9000円程度。新品なら15万円はするルイ・ヴィトンのバッグも6万8000円ほど。これはいくらなんでも安すぎる。Xでブランド品を買った経験のある方の中にも、一度は「スーパーコピーなる偽物じゃないのか?」と疑ったことがある人が多いだろう。

 そこで、この疑問についてX本部に取材したころ、次のような回答が寄せられた。

「弊社取り扱いブランド品は、ほぼ全て『並行輸入品』であり、確実なパートナーを厳選した上で、自社内基準に基づいて厳正に検品していますから、ご心配なく」

 ちなみに、『並行輸入』とは、ブランドホルダーから国内直営店・総代理店に至るルートとは別の海外直営店・海外正規代理店・免税店などから二次的に商品を買い付けるルートを経由した輸入のことである。これによりXは、独自のルートで大量一括仕入れをしているため安く販売できるとの説明だ。

 しかし、「確実なパートナー」「自社内基準」の具体的な内容までは明かされず、そもそも日本の法律では並行輸入品に関して、真正商品か否かを厳密に確認する義務はなく、実態は並行輸入品の8割以上が偽物とみられているのである。

 今度はXのブランド品売り場で「なぜ、Xのブランド品はこんなに安いんですか?」と責任者に尋ねたところ、「卸値での買い付けが可能で、当社専門チームが直接関わるため、中間手数料が省かれるから」との回答で、回答マニュアルが存在するのか、本部の説明がそのまま展開された。

●仕入れ先は窃盗団?

 そこで、Xの現場責任者、本部勤務を経て、買い付けのバイヤーをしていた本間里志氏(仮名)に実態を聞いてみたところ、「Xのブランド品は全部本物です」との回答に続けて、「本物ですが、並行輸入とか大量一括仕入れで安いというのは、ほとんどが『盗品』だからです。Xのブランド品は本物だけど仕入れ先は窃盗団で、ブランド売場は盗品市みたいなものです」

 しばしば高級ブランドショップで多額被害の窃盗事件が発生しているが、犯人グループはそれらの窃盗品を現金に換えるため、質屋などへ持って行けば途端に足がつく上、まとめて持ち込めないため効率が悪くて仕方ない。本間氏の話によれば、それら大量の盗品ブランド物を一気に買い取る窃盗団のお得意様の筆頭が、Xだというのだ。

「特にブランドショップにダンプで突っ込むとかガラスを破壊して根こそぎ持って行く荒っぽい仕事をするのは、中国人や東南アジア人たちです。彼らにとってXは神様です」と語る本間氏によれば、Xの裏バイヤーは入手先や入手方法について一切詮索せず、淡々と値段を付け、すべて現金一括で支払うという。取引現場は窃盗団があらかじめ用意しておいた潰れた工場や倉庫など。Xのブランド品に「箱・証明書」が付いていないケースが多いのも、これで合点がいく。付いている場合は、専門の裏業者による作品、力作だという。

●ヤラセ窃盗事件も

 ブランド品だけではない。食料品、日用品、雑貨から家電まで盗品だらけだという。

 窃盗グループの元リーダー・金氏(仮名)によると、盗まれる倉庫とは事前に打ち合わせ済みだというから驚きだ。

「倉庫を管理する責任者と、両者得する条件でヤラセ窃盗事件を起こすのです。盗まれる倉庫はあらかじめ保険契約を結んでいるので、商品を根こそぎ持って行かれても保証があるため、損はない。それどころか、協力した倉庫責任者には窃盗団から30%の利益バックがあります」

 つまり、Xに並ぶ商品は、裏事情満載のダークな品物がほとんどとはいえ、ブランド物は本物、その他商品も欠陥商品ではない。一般消費者にとっては、“良い品が安い”優良店だ。

 ちなみに、店員はXのブランド品売り場では、お客から「本物ですか?」と聞かれても、絶対に「本物です」と答えてはならず、「大丈夫です」と答えるよう、マニュアルにも最重要事項として書かれているという。

 そこで、ある店舗の売り場で、若い店員さんに「これ、本物ですか?」と聞いてみたところ、「大丈夫ですよ」との答えが返ってきた。
(文=鷹司昇一郎)