読売新聞記事に捏造の疑い、取材対象者から抗議受けた記者は「いい宣伝になったでしょ?」
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。
「飛ばし記事」とは、新聞・雑誌などで、裏付けを取らずに不確かな情報や憶測に基づいて書かれた記事のことだ。記事の内容が不正確であると発覚しても、メディアが自発的に謝罪するケースはまれだ。
新聞に限らず、マスコミは他社より少しでも早くスクープを抜くという点に執着しており、報道後にその内容と異なる展開になった場合は、「そんな展開はおかしい」「判断基準がぶれている」などと当事者を非難することさえある。
今回は、読売新聞が掲載したある飛ばし記事の概要と問題点、そうした記事を量産する記者について取り上げてみよう。
件の記事は、4月5日付読売新聞に掲載された以下の記事だ。
~以下、同紙より引用~
『客の顔情報「万引き対策」115店が無断共有』
スーパーやコンビニなどの防犯カメラで自動的に撮影された客の顔が顔認証で解析され、客の知らないまま、顔データが首都圏などの115店舗で共有されていることが4日分かった。
万引きの防犯対策のためだが、顔データを無断で第三者に提供することはプライバシー侵害につながりかねず、専門家や業界団体は「ルール作りが必要」と指摘している。
顔データを共有しているのは、名古屋市内のソフト開発会社が昨年10月に発売した万引き防止システムの導入店舗。首都圏や中京圏のスーパーなど50事業者計115店舗で、個人のフランチャイズ経営の大手コンビニなども含まれる。
各店舗は、防犯カメラで全ての客の顔を撮影。万引きされたり、理不尽なクレームを付けられたりした場合、該当するとみられる客の顔の画像を顔認証でデータ化した上で「万引き犯」「クレーマー」などと分類し、ソフト開発会社のサーバーに送信、記録される。他の店舗では顔の画像そのものは閲覧できない仕組みだ。
いったん登録されると、再び来店した場合、店員に分かる形で警報が発せられる。登録されたのとは別の店舗を訪れても、サーバーに記録された顔データで照合され、警報が出る。システムを導入する店舗では、「顔認証監視カメラ設置」などのシールを店内に貼って撮影していることを周知しているが、他の店舗と顔データを共有していることまでは知らせていない。
個人情報保護法では、防犯カメラで撮影した顔画像は個人情報に当たる。防犯目的であれば本人の同意がなくても撮影は認められているが、顔データを共有すると、第三者への無断提供を禁じた同法に抵触する恐れがある。提供された顔データが犯歴や購入履歴などと結びついて個人が特定されれば、プライバシー侵害につながりかねない。