読売新聞記事に捏造の疑い、取材対象者から抗議受けた記者は「いい宣伝になったでしょ?」
顔データの共有について、個人情報保護に詳しい板倉陽一郎弁護士は「店側が恣意(しい)的に不審者だと登録でき、客にとっては、行ったことのない店舗で不利益な扱いを受ける恐れがある。誤って登録されても反論する機会はない」と指摘する。一方、ソフト開発会社は「万引きを防ぎたいという店側のニーズに応えており、問題ない」と説明している。
~引用ここまで~
●ネット上では炎上状態に
掲載場所はテレビ欄の裏面に当たる社会面で扱いも大きく、記事掲載同日午前中にはYOMIURI ONLINEの記事としても配信されたことから、インターネット上では話題になった。
「やまもといちろう氏Yahoo!個人」
『万引き犯共有ネットワークが物議を醸しております』
「栗原潔のIT弁理士日記」
『米国における万引き犯情報共有システムについて(+リカオン社特許について)』
これら有識者のコメントを受けて、「NAVERまとめ」や「2ちゃんねる」などでも「名古屋市内のソフト開発会社」とみられる企業名が挙げられ、ちょっとした炎上状態になっていた。
本記事内容に賛同し、同社サービスに対して批判的なスタンスを取る人々の主張ポイントは、大きく次の2つだ。
【ポイント1】
防犯カメラで自動撮影された客の顔が顔認証で解析され、客の知らないまま、顔データが多くの店で共有されている。
(問題とされる点)
・顔画像データは個人情報である
・データ無断共有は、個人情報保護法に抵触する
・顔データによって個人が特定されれば、プライバシー侵害に当たる
【ポイント2】
店側が恣意的に不審者だと登録でき、客にとっては、行ったことのない店舗で不利益な扱いを受ける恐れがある。誤って登録されても反論する機会はない。
(問題とされる点)
・警察ならまだしも、一民間企業が犯罪者データを恣意的に扱えるのは問題がある
・店側に都合が悪い人物は全員登録されて、私生活が制限される可能性がある
・これでは私刑(リンチ)と同じだ
以上のような議論は「Googleグラス」発表の際にも巻き起こったように、顔認証データをどう扱うかというテーマは、技術進歩に法整備が追い付いていない領域であろう。
●記事内に散見される事実誤認
しかし、日頃から万引き被害に苦しむ店舗の側からしてみれば、今回読売新聞が問題視しているようなシステムがあれば、これまで対策に割いていた余計な人件費や経費をもっと生産的な活動に回すことができ、メリットが大きいといえるのではないか。
そこで今回、事態の真相を探るべく、「名古屋市内のソフトウェア開発会社」(以下、A社)の担当者である畠山公治氏に話を聞いた。
結論からいうと、今回の読売新聞記事は、執筆した畑武尊記者によるかなり悪意のある飛ばし記事である可能性がうかがえる。以下、畑記者が同社を取材した時に記録された会話データを基に、本記事の信憑性を検証していこう。
【読売新聞記事の内容について、事実と異なる点】
(1)顔データを無断で第三者に提供する