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大王製紙、お家騒動再燃 経営陣と創業家・井川一族の内紛が深刻化、経営混乱進む

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「エリエール ティシュー」(大王製紙)
 顧問が社長を訴える――。総合製紙メーカーの大王製紙で、前代未聞の珍事が起きた。井川意高(もとたか)前会長が子会社から巨額の資金を借り入れ、カジノで散財した事件から3年。意高氏の父親の井川高雄顧問が、大王の佐光正義社長を相手に新聞への謝罪文掲載と1億1000万円の慰謝料を求める訴訟を起こした。

 訴状などによると、意高氏の巨額借り入れが発覚した後の2011年10月、大王はこの問題の社内処分として高雄氏を顧問から解職し、公表した。高雄氏は「(意高氏の独断だった)巨額借り入れに、自らも重い責任があるとの印象をもたれ、名誉を傷つけられた」として同社を訴え、高雄氏は12年10月に顧問に復帰している。

 今回の訴訟の狙いは別にある。意高氏の法的責任は父親である高雄氏にも及ぶという連座の論理で、経営陣が高雄氏をはじめとする井川家を排除しようとしたとして、高雄氏が経営陣の企てを問題にしているのだ。経営陣と特別調査委員会の責任を司法の場で問うのが高雄氏の狙いだ。

 最高裁判所は13年6月、前出の散財事件で会社法違反(特別背任)に問われた意高氏の上告を棄却。懲役4年の実刑判決とした1・2審の判決が確定し、現在は服役中だ。

 だが、事件は終わっていなかった。これまで沈黙を貫いてきた“中興の祖”と呼ばれたかつての実力者・高雄氏が、反撃を開始したのである。

 意高前会長の子会社からの巨額借り入れ事件を受け、佐光社長ら現・経営陣と大王が設置した「特別調査委員会」は、事件の背景に創業家の井川一族支配があったと結論付け、高雄顧問を追放。創業家に対し、大王と関連会社の株式を売却するよう求めた。高雄氏は「事件に名を借りた、会社乗っ取りだ」と猛反発。一時は、ティッシュペーパー「エリエール」などの家庭用紙は高雄氏側、新聞用紙などは経営陣が経営する工場で生産するという分裂寸前までいった。

 12年6月、製紙業界5位だった北越紀州製紙が仲裁に名乗りを上げ、創業家のメンツを保ちつつ大王が経営体制を再構築できるように図った。高雄氏と家族が保有する株式を北越が引き取り、その売却代金で意高氏の59億円の借入金を大王に返済した。

 北越と大王は経営統合含みで資本提携し、高雄氏は顧問に復帰することで一応の決着をみた。北越自体は大王株を22.29%(当時)持つ筆頭株主になった。

●仲介役・北越紀州との緊張関係が高まる

 だが、その後も大王ではスキャンダルが相次いだ。巨額の追徴課税疑惑、インサイダー取引疑惑、不正会計疑惑と数々の問題が浮上した。

 最大の問題は、資本提携したはずの北越と緊張状態になったことだ。技術提携交渉を進めている最中の13年2月、筆頭株主の北越の知らぬところで大王の関係会社である川崎紙運輸が、12年7月から11月末にかけて北越株2.0%を取得していたことが判明した。北越は大王に説明を求めたが当初、大王はこれを拒否した。