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グーグルの代わりにChatGPTを検索エンジンに使ってみた…使い分けが正解

2025.04.07 2025.04.07 18:27 IT
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ChatGPT

 ChatGPTは、オープンAIが開発したAIチャットボットとして広く知られているが、その用途は単なる「質問に答えるツール」を超え、検索エンジンの代替手段としての役割を担うまでに進化している。特に2024年10月にリリースされた「ChatGPT Search」機能は、リアルタイムのウェブ情報を活用した回答を提供するもので、従来の検索に置き換わるものとなりつつある。しかし、ChatGPTがあれば、本当にもうGoogleは必要ないのだろうか。ChatGPTによる検索に死角はないのか、考えてみよう。

ChatGPTのメリット 会話形式で整理された回答

 ChatGPTを検索エンジンとして使う最大のメリットは、その会話形式による自然な回答だ。従来のGoogle検索では、質問に対する答えを得るために複数のウェブサイトを訪れ、自分で情報を整理する必要があった。ChatGPTは質問するだけで、簡潔かつ整理された回答を即座に返してくれる。このプロセスは驚くほどスムーズで、情報を探す手間を大幅に省いてくれる。

 実際に試してみると、その便利さが際立つ。たとえば、「ヨーロッパの歴史的な城トップ3を知りたい」と質問すれば、トップ3をリストアップし、それぞれの簡単な説明まで付けてくれる。Googleで同じ質問をした場合、複数の旅行サイトや記事を読み漁る必要があることを考えると、時間の節約効果は明らかだ。

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ヨーロッパの歴史的な城トップ3を尋ねると必要にして十分な応答が得られた。

リアルタイム情報への対応力

 ChatGPT Searchのもう一つの強みは、リアルタイムのWebデータを活用できる点だ。たとえば「今日の東京の天気は?」と聞けば、まるで天気予報アプリのような回答が即座に返ってくる。ニュース速報や株価の動向など、刻々と変化する多くの情報に対応している。このリアルタイム性は、Google検索と比べても遜色ないどころか、場合によっては上回る利便性がある。

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広告なしのクリーンな体験

 さらに見逃せないのが、ChatGPTでは「広告がない」という点だ。Google検索では、検索結果に広告が表示されることが常であり、検索結果のサイトにアクセスしても多くは広告まみれで必要な情報を探し出すのに苦労することもある。一方、ChatGPTは広告を一切表示せず、純粋な情報だけを提供する。このクリーンなインターフェースは、集中して調べ物をしたいときに大きな利点となる。

ChatGPTのデメリット 情報の検証が難しい

 しかし、ChatGPTを検索エンジンとして使うには、いくつかのデメリットも存在する。まず挙げられるのが、「情報の正確性を検証しにくい」という点だ。ChatGPTは回答がどのソースに基づいているのかを明示しない場合が多い。たとえば最新の科学技術などについて質問したとき、ChatGPTはそれらしい回答を返すだろうが、それが正しいのか確認できない。Google検索では検索結果から一次情報(論文のPDFやニュース記事)に直接アクセスでき、信頼性を確認しやすい。この差は、特に学術的な調査や重要な意思決定に関わる情報収集では大きな課題となる。

深掘りに限界がある

 また、ChatGPTの回答は複雑なトピックに対して表面的になりがちな傾向がある。たとえば、医療や法律といった専門性の高い分野では、ChatGPTは基本的な概要を説明するにとどまり、詳細な議論や具体的な事例まで踏み込まない傾向がある。無理に聞き出そうとすればハルシネーション(幻覚)を引き起こすこともある。Google検索では、専門家のブログ、公式機関のサイト、フォーラムなどを次々に探索することで、確実に深い知識を得られる。

テキスト中心の情報提供

 さらに、ChatGPTの情報は主にテキストベースに限定される。Google検索では、画像、動画、インフォグラフィックなど多様な形式のコンテンツが手に入るが、ChatGPTは基本的に文章での回答が中心で、検索結果として画像やグラフを豊富に提示するわけではない。たとえば、「地球温暖化の影響を視覚的に知りたい」と質問しても、ChatGPTはテキストで説明するだけで、Googleのように具体的な写真や動画を探し出して提供してはくれない。

ChatGPTとGoogleの最強タッグ

 ChatGPTが検索エンジンとして革新的な選択肢であることは間違いないが、万能ではない。それぞれの特性を理解した上で、ChatGPTとGoogleをどのように使い分けるかが重要だ。

 ChatGPTが適しているのは、「簡単な質問に対する即答」や「概要を素早く知りたい場合」だ。たとえば、レシピのアイデアや旅行先の候補、ちょっとした雑学を知りたいときには、ChatGPTの会話形式が威力を発揮する。また、リアルタイムの情報(天気やニュース)が欲しい場合にも、手軽さで勝る。

 一方、Googleが適しているのは、「詳細で正確な調査」や「一次資料が必要な場合」、そして「画像や動画を含めた多角的な情報収集」が求められるときだ。たとえば、歴史的な出来事の詳細を調べたいときや、製品レビューを動画で確認したいときには、Googleの検索結果の多様性が役立つ。

 両者の強みを組み合わせるのが、現時点で最も効率的なアプローチだろう。なにか調べたいことがあったら、まずChatGPTに質問して基本的な概念を把握し、その後Googleで具体的な論文や解説動画を探す、という流れが理想的だ。この方法なら、ChatGPTの即時性とGoogleの深さを効率よく利用し、時間を無駄にせず必要な情報を収集できる。

 ChatGPTを検索エンジン代わりに使うことは、情報収集の新しいスタイルを提案するものだ。その会話形式、リアルタイム性、広告のない快適さは、従来の検索体験を大きく変える可能性を秘めている。しかし、情報の検証の難しさや深掘りの限界を補うためには、現時点ではGoogleとの連携が欠かせない。「ChatGPTがあれば、Googleは不要」といえるようになるのは、まだまだ先のことだろう。

(文=掌田 津耶乃/テクニカルライター)

掌田 津耶乃/テクニカルライター

掌田 津耶乃/テクニカルライター

主にビギナー向けのプログラミング入門書を執筆。『Google AppSheetで作るアプリサンプルブック』ほか、著書多数。