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マネーフォワードのAIエージェント、何がすごい?煩雑な業務から解放

2025.04.14 2025.04.14 16:01 IT
マネーフォワードのAIエージェント、何がすごい?煩雑な業務から解放の画像1
4月2日「マネーフォワード AI戦略発表会」の模様

●この記事のポイント
マネーフォワードは「マネーフォワード クラウド」においてAIエージェントの提供を開始する。
・その特徴は「自律的にバックオフィス業務を行う」「バックオフィスの専門家として高い専門性を持つ」「新たなデータやロジックから、賢く成長し続ける」の3点。
・従業員は煩雑な経費精算の手間から解放され、まるで秘書がいるかのように経費処理を行えるようになる。

 マネーフォワードはバックオフィス向けSaaS「マネーフォワード クラウド」においてAIエージェントの提供を開始すると発表した。経費、会計、HR領域などで活用可能なAIエージェントの開発を進め、2025年中に順次提供を開始する予定。どのような活用事例が想定され、導入によって、どのような効果が期待できるのか。マネーフォワードへの取材を交えて追ってみたい。

 40万以上の事業者が利用する「マネーフォワード クラウド」は、経理財務や人事労務、法務領域のバックオフィス向けSaaSであり、同サービス上で利用可能なAIエージェントの開発を進めている。その特徴は、「自律的にバックオフィス業務を行う」「バックオフィスの専門家として高い専門性を持つ」「新たなデータやロジックから、賢く成長し続ける」というもの。以下のような機能が実現可能になるという。

・従業員が「マネーフォワード ビジネスカード」で支払いを行うと、自動で経費申請内容の提案が通知され、内容を確認して申請を実行すると、自動で上長への承認依頼の確認通知が行われる。
・経理に代わってリマインドや異常値チェックを支援。
・人的資本に関するデータを収集し、分析・表示。
・士業事務所向けでは、必要な資料のリスト化とコミュニケーションツールを通じたリマインドを行う「資料回収エージェント」や、初めての取引でも精度の高い勘定科目をレコメンドする「勘定科目レコメンドエージェント」などを提供。

 最適なAIエージェントをよりスピーディーかつ効果的に組み合わせて活用するため、外部サービスのエージェントも併用できる環境として「AIエージェントプラットフォーム」の提供も予定している。

決算業務の効率化と迅速化が期待される

 同社のAIエージェントの特徴について、執行役員 グループCDAOの野村一仁氏に聞いた。

「以下の3つの特徴を持つことを目指しています。

 ・自律的にバックオフィス業務を行う
 ・バックオフィスの専門家として高い専門性を持つ
 ・新たなデータやロジックから、賢く成長し続ける

 また、ユーザー様の事前許諾を得た上で、『マネーフォワード クラウド』のデータだけでなく、他社が提供しているSaaSなどの幅広いデータを連携できるデータマートを基盤として活用できるようになる予定です。このデータマートに入ったデータを高速に処理し、各業務に対応したAIエージェントが学習し、適切な業務を遂行していくという構想です。2025年中に順次リリースしていく予定です」

 では、どのような活用事例と期待効果が見込まれるのか。

「当社は経費、会計、人事労務といったバックオフィス業務の効率化を目指し、さまざまなAIエージェントの提供を計画しています。今回の発表会(4月2日『マネーフォワード AI戦略発表会』)でお話しさせていただいた、具体的な活用事例と期待される効果は以下の通りです。

・経費AIエージェント
 活用事例として、『マネーフォワード ビジネスカード』の利用明細をAIが検知し、未精算の利用がある場合にユーザーに通知し、申請を促します。領収書を添付するだけで、AIが科目や部門を推測し、経費申請を代行することが想定されています。ユーザーはAIエージェントが提示するアクションに対し、『はい』などの簡単な操作で経費精算を完了できます。従業員は煩雑な経費精算の手間から解放され、まるで秘書がいるかのように経費処理を行えるようになります。

・会計AIエージェント
 経理担当者に代わり、支払申請のリマインドや、未提出・未承認のデータを自動で把握し、関係者に通知します。全てのデータが揃う前に、未承認データに基づいた仮の資産表を作成し、異常値をチェックすることも可能です。月次決算の早期化に向け、承認待ちの経費申請リストを作成しリマインドを提案したり、未承認データを含む概算の資産表を作成し、前月との差異分析を提示したりします。経理担当者は、AIエージェントに詳細な分析を指示することも可能です。会計事務所向けには、資料回収、仕分け、勘定科目の推奨、顧問先へのレポート作成などを支援するAIエージェントが検討されています。経理担当者は煩雑なリマインドやデータ集計業務から解放され、より専門性の高い業務に集中できます。決算業務の効率化と迅速化が期待されます。

・HR AIエージェント
 例えば、人事担当者が人的資本開示などの準備で、部門別・職種別の育児休業取得率を知りたい場合、AIエージェントにリクエストすると、関連データを検索し、グラフで可視化して提示します。全体の傾向、取得率の高い部署、今後の示唆なども自動でコメントします。さらに、上場企業の平均値と比較したグラフを示すことで、自社の状況を客観的に把握できます。

 期待できる効果: 人事担当者は分散したデータから必要な情報を効率的に収集・分析できるようになり、人的資本開示などの業務負担が軽減されます。

 当社は、これらの取り組みを通じて、マネーフォワードはDXの会社からAXの会社へと進化し、デジタルツールを提供する企業からデジタルワーカーを提供する企業へと転換していくことを目指しています。そして、人手不足に悩む企業に対してAIの力を提供し、少ない人数でも質の高いバックオフィス業務を実現することで、日本全体の生産性向上に貢献することを目指します」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)