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食べログ離れ加速、評価への不信と高コスト…「店探しもグーグルとインスタ」

文=永田理瑠、協力=TableCheck
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食べログ離れ加速、評価への不信と高コスト…「店探しもグーグルとインスタ」の画像1
「食べログ」より

「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパーグルメ」などさまざまなグルメサイトが存在するが、消費者や飲食店の間でグルメサイト離れが進んでいるといわれている。実際にSNSでお店を選ぶ人も多いが、実態はいかに。今回はグルメサイト離れについてプレスリリースを発表した株式会社TableCheckに話を聞いた。

きっかけはグーグル、インスタグラムの参入

 TableCheckは飲食店向けに予約・顧客管理システムを提供している。店舗のオウンドメディアやグルメサイト、電話などからのあらゆるチャネルからの予約を一括で管理できるSaaS企業。そんな同社は以前、グルメサイト離れに関するプレスリリースを発表した。同リリースによると、消費者の間でグルメサイトを信頼しないという声が聞かれるようになり、飲食店検索ではグーグルが台頭するようになったという。飲食店側に対するアンケートでも3割がグルメサイトのユーザー評価を評価しないという結果が出ている。ネットやSNSでも「グルメサイトの評価はお金で買える」といった投稿をよく見かけ、グルメサイト離れが進んでいる印象がある。TableCheckのPRマネージャー、望月実香子氏はいう。

食べログ離れ加速、評価への不信と高コスト…「店探しもグーグルとインスタ」の画像2
Copyright(C):TableCheck

「『評点の基準がブラックボックスすぎる』といった投稿は以前のグルメサイト一強だった時代から聞かれてきました。しかし当時は代替となるサービスがなく、消費者と飲食店が共に食べログなどのグルメサイトに頼っていました。この状況が大きく変化したのは、コロナ禍直前の20年春ごろからグーグルやインスタグラムが飲食店予約に参入したのがきっかけです。世界中に圧倒的なユーザー数を持つメガプラットフォーマーと、飲食店のリアルタイムの席在庫情報を持つ弊社のような企業が手を組み、グーグルやインスタグラム上で予約ができるようになりました。これらを通じた予約数は著しく伸び続けています」

グルメサイト離れの理由は高いコストと低い信頼性

 従来のグルメサイトを使わない飲食店も現れている。新たな予約媒体の誕生も背景の一つだが、グルメサイト離れの主な要因は信頼性とコストにあるようだ。

「飲食店がグルメサイトに掲載する場合、月額数万円の固定費のほか予約数に応じて客1人当たり50~200円程度の『送客手数料』を支払う必要があります。人気店では月額10万~数十万円にもなり、この分の利益を確保しようとすると数百万円もの売上が必要になります。一方でインスタグラムに投稿するだけなら無料です。高いコストがグルメサイト離れの一因です。

 また、現在では韓国料理チェーン『韓流村』と食べログの間での裁判が話題となっているように、グルメサイトに記載される評点一つで飲食チェーンの売上を数千万円単位で左右してしまいます。大きな影響力を持つグルメサイトの評点の基準がブラックボックスである、という点が、飲食店側のグルメサイトへの不信感につながっていることも背景にあります」(同)

 1店舗で月々数十万円単位の支払いは大きな金額だ。そのうえで不信感を持ってしまえば、あえてグルメサイトに掲載しないという選択をとってもおかしくはない。SNSと違って店舗側の運用次第で売上を上昇させにくいというデメリットもある。

予約では意外にも根強いグルメサイト

 消費者側の動きを見ると、近年ではGoogle マップによる検索も増えている。17年以降、口コミ数が増えた傾向にあり、圧倒的な口コミ数が信頼の元となっている。とある飲食チェーンではGoogle マップを通じた閲覧数がグーグル検索の3倍にも及び、SEOではなくMEO(マップ検索エンジン最適化)に力を入れているという。飲食店検索ツールとして以前はグルメサイトが使われていたが、現在ではグーグルとインスタグラムが強いようだ。とはいえ、予約に関しては依然グルメサイトも強いという。

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Copyright(C):TableCheck

「予約数でみると電話予約が減る一方で、ネット予約が増えたかたちです。2017年には6割以上が電話予約で、グルメサイト予約が18%、飲食店の公式サイト予約も18%でしたが、23年は電話予約が43%まで減少し、グルメサイトと公式サイトはそれぞれ27%、31%まで増えました。割合としてグルメサイトの分が減ったわけではありません。近年増えてきたとはいえ、グーグル、インスタグラムを通じた予約は現状でも全体の5~10%程度です」(同)

 グーグルやSNSを通じた予約数が増えている現状を店舗側が認識し、予約ツールとしても活用が進めば、さらにグルメサイト離れが進むだろう。

飲食店側に求められるのはMEOとSNS運用

 最後に、これからの飲食店が集客手段としてとるべき施策について聞いてみた。

「やはりGoogle マップの検索数が増えて売上を伸ばした店舗もあるように、MEOの施策が重要になっています。検索数でも圧倒するグーグル、そしてGoogle マップでの対策は欠かせません。次にSNSの運用も重要です。今日・明日のお店を決めるショートタームでの検索ならGoogle マップですが、今度行きたいお店を決めるロングタームの検索ならインスタグラム利用者が多い傾向にあります。特にインスタグラムは若年層だけでなく、60代のユーザーも活発に利用しています。近年では、TikTokユーザーの平均年齢層も35歳程度まで上がってきており、飲食店集客の主戦場は完全にGoogle マップとSNSにシフトした感があります。近年における消費者の飲食店検索行動パターンとして、SNSで情報収集しつつ2次3次情報としてグルメサイトを閲覧し、グーグルで予約するという流れも多くなってきていますSNSとグーグルの両方を活かす施策が求められるでしょう」(同)

 グルメサイトを通じた予約はまだまだ健在だが、コストや信頼性の面でその地位が揺らぎつつある。信頼回復か低価格化か、いずれにせよグルメサイト側が消費者と飲食店の両方を納得させるような手段を見つけない限り、文字通りグルメサイト離れは加速してしまうだろう。

TableCheck

TableCheck

グローバルに事業展開をしている日本発レストランテックカンパニー。世界中のレストランとゲストを自動的かつ最適につなぐことで、より良いレストラン体験を提供できる最良のプラットフォームを目指している。主なサービスは、飲食店向け予約・顧客管理システムと、ユーザー向け飲食店検索・予約ポータルサイト。リアルタイムの空席情報を把握することで、ユーザーに24時間いつでも空席検索、ネット予約ができるサービスを提供。
TableCheckの公式サイト

Twitter:@TableCheck_jp

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