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Apple Intelligence、ビジネスで便利に使い倒す方法

2025.04.10 2025.04.10 17:00 IT
Apple Intelligenceは生成AIを身近に。ビジネスでも使える3つの機能を紹介の画像1
写真:伊藤朝輝、以下同じ

●この記事のポイント
アップルのパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」が日本語に対応した。
・iPhoneなどの「メール」アプリでは、メールの要約や、返信メールの作成といった機能が利用できる。
・「作文ツール」は、文章の校正や書き直しのための機能。対応アプリでテキストを扱う画面などから呼び出して使える。

 アップルのパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」が日本語に対応した。2025年4月1日にリリースされたiOS 18.4、iPadOS 18.4、macOS Sequoia 15.4を利用することで、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語(ブラジル)、スペイン語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)の8言語、および一部ローカル英語が新たにサポートされる。Apple IntelligenceでiPhoneはどのように便利になるのだろうか。今回はApple Intelligenceで実現される機能の中から、プライベートやビジネスシーンですぐに使える3つの機能を紹介しよう。

Apple Intelligenceは誰でも使えるパーソナルAI

 Apple Intelligenceはいわゆる「生成AI」の一種であり、アップルが自社製端末向けに開発したものだ。多くの生成AIがマルチプラットフォームで汎用的な利用を想定されているのに対して、Apple IntelligenceはiPhoneなどのアップル製端末での使用に特化し、システムに統合されている点が最大の特徴。iPhoneユーザーなどが気軽に生成AIを利用し、その恩恵を受けられるようになった

 ここでは以下の3つの機能を紹介しよう。

・要約機能
自分で書いた文章のほか、Webページの記事、受信したメールなどの長いテキストを要約

・作文ツール
書いた文章の校正、思い通りのトーンや言葉づかいを提案

ChatGPTとの連携
ChatGPTで実行した方がよいと判断された場合にシームレスに連携できる

Apple Intelligenceの要約機能で時短

 iPhoneなどの「メール」アプリでは、メールの要約や、返信メールの作成といった機能が利用できる。返信が繰り返されて長くなったスレッドの場合は、全体を参照して経緯や要点をピックアップしてくれるため、あとからまとめてメールを確認する際にも役に立つ。

 Apple Intelligenceは、ユーザーの行動や操作に応じたタイミングで、有用な機能や解決手段がシームレスに提供される点が特徴だ。

 一例を挙げると、これまでのメールの一覧画面では送信元、タイトル、本文の冒頭2行程度が表示されるだけだった。Apple Intelligenceを有効にしておくと本文の代わりに要約が表示される。これによって重要なメールかどうかを、一覧を見るだけである程度判断できるようになった。

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メールを開き、上部にある「要約」をタップすると、本文やスレッド全体をまとめてくれる

 標準のWebブラウザー「Safari」でも要約機能が使える。内容を素早く把握するのに便利な機能だ。画面表示を「リーダー」モードに切り替えると、画面上部から要約機能が利用できるようになる。

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要約機能は標準のWebブラウザー「Safari」からも利用可能だ

 Apple Intelligenceの機能はAPIを通じてサードパーティ製アプリにも提供されるが、既に対応済みの標準アプリを利用する価値が高まった。

作文ツールで文章の作成が楽になる

 Apple Intelligenceの「作文ツール」は、文章の校正や書き直しのための機能。対応アプリでテキストを扱う画面などから呼び出して使える。

 校正機能により誤字や脱字、曖昧な表現が対象になるほか、書き直しや表現のトーンの調整、要約、要点をリストにまとめるなどの機能が利用できる。

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作文ツールでは「校正」「書き直し」のほか、文章のトーンの変更や「要約」「要点」などの機能も提供される

 気に入った結果になるまで、繰り返しや、やり直しといった試行錯誤は必要になるが、基本的にタップだけで実行できるため手軽だ。

アプリ内でChatGPTとスムーズに連携

 必要に応じて、OpenAI社の生成AI「ChatGPT」と連携する点もApple Intelligenceの特徴だ。音声アシスタントの「Siri」からChatGPTを利用できるほか、前述の「作文ツール」でもChatGPTと連携して、一から文章を生成できる。

 メールアプリの例では、呼び出した作文ツールでどのような文面を作ってほしいかを入力する。ChatGPTを使用する旨のメッセージに許可すると、メールの文面が生成される。

 ChatGPTのアカウントを持っていなくても利用でき、アプリから離れることなく処理されるため、とても手軽だ。もちろん既にChatGPTを利用しているユーザーは、そのアカウントで使うこともできる。

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返信メール作成画面で起動した「作文ツール」で、どのような文面を作ってほしいかを入力
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ChatGPTと連携して返信メールが生成された

 仕事の相手や取引先と文章でやり取りする際、Webサイトなどでテンプレートを探して参考にする場合があるかもしれない。Apple Intelligenceの作文ツールを使うとこの手間が大幅に削減されるだろう。

 Apple IntelligenceはiPhoneなどのアップル製端末に最適化され、使い慣れたアプリから手軽に呼び出して利用できる点が魅力。ChatGPTの「窓口」として機能する点も面白い。これまで生成AIに馴染みがなかったユーザーでも、Apple Intelligenceならすぐに実践で活用できるはずだ。

(文=伊藤朝輝/ライター、システムエンジニア)

伊藤朝輝/ライター/SE

伊藤朝輝/ライター/SE

SEとして働く傍ら、1995年ごろから雑誌や書籍で執筆活動を始めた。デビューの記事は「Windows 98リアルモード徹底活用テクニック」。最近はアップル製品に関する記事を書くことが多い。「アップル製品に使うお金はアップル製品で稼ぐ」がモットー。

Twitter:@_akibyon