国内のスマートフォン納入台数のメーカー別シェアで、中国のXiaomi(シャオミ)が3位に浮上した。シャープや韓国サムスン電子を上回った。シャオミのスマホの販売が伸びている理由は何か。また、日本のユーザーにとってシャオミのスマホは「買い」といえるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
シャオミの創業は2010年と、歴史は浅い。比較的高い性能とデザイン性ながらも圧倒的な低価格である点を強みにシェアを拡大。23年の世界スマホ市場シェアでは、1位でiPhoneを販売するアップル(20.1%)、2位でGalaxyを販売する韓国サムスン電子(19.4%)に次いで3位(12.5%)につけている(米市場調査会社IDC調べ)。日本にも19年に参入し、現在では安価なモデルの「Redmi 12 5G」(税込2万9800円~)からハイエンドモデルの「Xiaomi 13T Pro」(10万9800円~)まで販売している。
スマホ以外でもスマートウォッチ、ロボット掃除機、スマートカメラ、空気清浄機、加湿器などの家電製品、保温ポットなどにも注力しているのが特徴で、最近では電気自動車(EV)を発売したことも話題を呼んだ。
スマホのラインナップをみてみると、たとえば安価モデルの「Redmi 12 5G」は約5000万画素のメインカメラを含む2つのカメラ、約6.8インチ大型ディスプレイ、5000mAhの大容量バッテリー、プロセッサーとして4nm製造プロセス5Gチップの「Qualcomm Snapdradon4 Gen 2」を搭載。ミドルモデルの「Redmi Note 13 Pro+ 5G」(5万9800円~)は約2億画素のメインカメラを含む3つのカメラ、6.67インチの有機ELディスプレイ、5000mAhの大容量バッテリー、プロセッサーとして4nmプロセスの「MediaTek Dimensity 7200-Ultra」を搭載している。
「他メーカーの同程度のスペックのスマホと比べて金額が一段安いといえる。ゲームや動画視聴などはせず、スマホはLINEやキャッシュレス決済アプリなど最低限の機能だけ使えればよいというユーザーであれば、安価モデルで十分かもしれない」(大手キャリア社員)
カメラの画質、使い勝手ではトップクラス
そんなシャオミのスマホが日本で存在感を増しつつある。シャオミジャパンによれば、今年4~6月の納入台数のメーカー別シェアで、1位のアップル(56%)、2位でGoogle Pixelを販売するグーグル(12%)に次いで3位(6%)になったという。
シャオミのスマホ販売伸長の理由について、ITジャーナリスト・石川温氏はいう。
「SIMフリー市場向けで認知度を上げつつ、ソフトバンクやKDDI向けに安価なモデルを納入しているというのが大きい。総務省による割引規制により、高額な割引ができないなか、中国メーカーとしてのコストパフォーマンスの良さが評価されている」
シャオミのスマホの特徴や強み、魅力とは何か。
「新製品である『Xiaomi 14 Ultra』はドイツの老舗カメラメーカーであるライカと協業するなど、カメラの画質、使い勝手では今売られているスマホのなかでもトップクラス。ハイエンドスマホでも個性を出しつつ、普及価格帯モデルは世界的にもシェアが高く、大量生産ができるため、部材を安く調達できるというメリットが効いている。今やアップルやサムスンを脅かす存在になっている」(石川氏)
では、日本のユーザーにとってシャオミのスマホは「買い」といえるのか。
「かつては中国HUAWEI(ファーウェイ)が面白いハイエンドのカメラスマホを作っていたが、米トランプ政権による禁輸措置により、同社は日本向けのスマホが作れなくなってしまった。そんななか、シャオミはハイエンドや安価なエントリーモデルなど、どれもコストパフォーマンスに優れた面白いスマホを投入しているので、日本のスマホユーザーにとっても選択肢に十分なり得るといえる」(石川氏)
(文=Business Journal編集部、協力=石川温/ITジャーナリスト)