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20年前のガラケー機能まで搭載…iPhoneが「遅れた機能」だらけの理由

文=Business Journal編集部、協力=佐野正弘/ITライター
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iPhone(「Wikipedia」より/Pang Kakit

 昨日(13日)から販売の予約受付が開始された米アップルの新商品、iPhone 16シリーズ。AI機能の「Apple Intelligence」などが注目されているが、世間のイメージとは異なり、意外にもiPhoneシリーズの機能にはスマートフォン市場全体でみると最新のものは少なく、ソニーの「Xperia」や富士通が手掛けていたスマホシリーズ「arrows」(現在は別会社のFCNTが展開)、さらにはガラケーといわれるフィーチャーフォンなどの日本製商品や、韓国サムスン電子の「Galaxy」などにすでに搭載されている機能が少なくないという指摘もある。果たして、これは事実なのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 米アップルは10日、iPhone 16シリーズを発表した。まず、iPhone 16とiPhone 16 Plusについては、「カメラコントロールボタン」「アクションボタン」、AI機能の「Apple Intelligence」が新たに搭載された点が従来モデルとの大きな違いだ。カメラをタップするだけで起動・撮影・フォーカス調整ができ、カメラコントロールを指でなぞることでズーム・露出・被写界深度の設定ができる。iPhone 15 Pro(Pro Max含む)で搭載されたアクションボタンが搭載され、サイレントモードの切り替えなどを行える。カメラは48MPメインと12MPカメラのディープフュージョンカメラで、超広角・広角・2倍ズーム・マクロに対応可能。iPhone 15 Proシリーズと同じくカメラ配置が斜めから水平に変更され、空間ビデオの撮影が可能になった。

 注目されるのがApple Intelligenceだ。Siriはユーザの文脈を理解し、たとえばメールは開かずとも概要を受信ボックスから把握できる。電話アプリやメモアプリでは音声の書き起こし・要約ができる。

 サイズは前世代モデルから変更はなく、iPhone 16は47.6×71.6×7.80mm、iPhone 16 Plusは160.9×77.8×7.90mm。プロセッサは「Apple A18」を新搭載し、CPUは6コアで、前世代モデルのA16 Bionicと比べて30%高速化した。本体バッテリー容量は拡大され、バッテリー持続時間が延長されている。

 iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxは前世代モデルと比べてサイズが大きくなった。iPhone 16 Proは6.3型、iPhone 16 Pro Maxは6.9型のディスプレイを搭載。こちらもApple Intelligenceとカメラコントロールを搭載。プロセッサは「A18 Pro」を新搭載し、全世代モデルのA17 Proに比べてGPUは最大20%高速化、消費電力は20%削減した。

 カメラとしては48MPのFusionカメラ、48MPの超広角カメラ、5倍望遠カメラを搭載し、4K120fpsの動画撮影にも対応。

 ITライターの佐野正弘氏はいう。

「ハード面については最新のチップを搭載するなどスペック的に底上げされている一方、新機能として大々的に謳っているApple Intelligenceはまず10月に米国でベータ版がリリースされますが、日本語へのの対応は2025年の予定となっているなど、AI関連ソフトの環境整備がが間に合っていない印象です。アップルとしてはApple Intelligenceの製品化を急ぎたかったのでしょうが、来年にならないと機能を十分に使えないのなら今急いで買う必要があるのかということになり、販売戦略的なアンバランスさと疑問を感じます」

安く手に入れる方法も

 各モデルの価格は以下のとおり(税込)。

・iPhone 16
    128GB:12万4800円
  256GB:13万9800円
  512GB:16万9800円

・iPhone 16 Plus
    128GB:13万9800円
    256GB:15万4800円
      512GB:18万4800円

・iPhone 16 Pro
  128GB:15万9800円
  256GB:17万4800円
  512GB:20万4800円
  1TB:23万4800円

・iPhone 16 Pro Max
  256GB:18万9800円
  512GB:21万9800円
  1TB:24万9800円

 実際には、iPhone 16シリーズのいずれも、キャリア(携帯電話会社)のプランを利用することで、アップルが発表している価格よりも安く手に入れることは可能。たとえば、ソフトバンクの「新トクするサポート(プレミアム)」でiPhone 16(128GB)を48回払いで購入すると、12カ月目までの支払額は月額3円で、13カ月目以降は月額4039円となるが、13カ月目に早トクオプションに申し込んで(オプション料金:1万9800円)端末を返却すると、13回目以降の支払いが免除される。つまり、負担額は1万9836円で済む。また、楽天モバイルの「楽天モバイル買い替え超トクプログラム」で48回払いで購入し、25カ月目に端末を返却すると、残り24回分の支払いが免除されるため、実質半額で手に入れることができる。

製品トータルでのバランスを重視

 そんなiPhoneだが、一般ユーザの間では常に最新の機能を搭載する最先端ガジェットというイメージが強いが、前述のとおり実際は“ちょっと遅れた機能”も多いという指摘もある。実際のところ、どうなのか。ITライターの佐野正弘氏はいう。

「iPhoneの新機種に搭載されるチップなどは最新のものが使われることが多いものの、個別の機能は必ずしも最新というわけではありません。たとえばiPhoneで生体認証機能が搭載されたのは2013年発売のiPhone 5sからですが、日本メーカーの携帯電話では20年も前のガラケーの時代から搭載されていました。カメラモジュールについてもソニーは自社でイメージセンサーを開発・製造して世界シェアが高いこともあり、新機種ではほぼ最新のものを搭載していますが、iPhoneは必ずしもそうではありません。サムスン電子などが既に製品を投入している、画面が折りたためるタイプのスマートフォンも、アップルは5年ほど前くらいから開発に取り組んでいるといわれていますが、いまだに実用化に至っていません」

 アップルがiPhoneにあえて最新機能を搭載しない理由は何か。

「ハード・ソフトの製品トータルでのバランスを重視しているためだと考えられます。最新技術ばかり搭載してバッテリーの持ち時間が短くなってしまったり、カメラを強化した結果デザイン的に大きな出っ張りが生じてしまったりすれば、ユーザの使い勝手は悪くなってしまいます。

 アップルはハードもiOS含むソフトも両方を自社で開発できる強みを持っているので製品トータルで最適なバランスを実現しやすいですが、他社はOSのアンドロイドをグーグルから提供してもらっていることから、アップルと比べれば制約が多いなかで戦わなければならず、どうしても最新機能をアピールする必要に迫られるという事情もあるかもしれません」(佐野氏)

(文=Business Journal編集部、協力=佐野正弘/ITライター)

佐野正弘/ITライター

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける
佐野正弘の公式サイト

Twitter:@masaoya

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