腸が変える、健康の新常識 ── マイクロバイオームが拓く次世代ヘルスケアの可能性
「病気を治す」から「健康をつくる」へ。
そのパラダイムシフトの中心にあるのが、人間の腸内に棲む微生物群「マイクロバイオーム」です。近年、腸と免疫・代謝・脳の相関が次々と明らかになり、予防医療や個別化医療を支える新領域として注目を集めています。
そんな腸内マイクロバイオームの社会実装を実現するため、韓国発バイオベンチャー HEM Pharmaとアムウェイは2016年から戦略的提携をしており、この度、日本国内においてもマイクロバイオームのビッグデータに基づくパーソナライズド・ソリューションを開始します。
今回は、韓国・水原(スウォン)にあるHEM Pharmaの本社およびラボを訪問し、CEOのチ・ヨセフ氏に、腸内マイクロバイオーム研究の最前線と、日本でのソリューション展開の狙いなどを伺いました。
腸内に眠る「もう一つの臓器」。マイクロバイオームの正体
マイクロバイオームとは、人体に存在する数百兆個を超える微生物のこと。微生物そのものだけではなく、それらの遺伝子や機能、代謝物を含めた総体を意味します。遺伝子は変わりませんが、マイクロバイオームは生活習慣や加齢によって変化します。
近年、腸内マイクロバイオームは、健康と病の関係を解き明かすカギを握るとされています。
かつて微生物は「病原」として認識され、その対応策として抗生物質が広く服用されるようになりました。しかし、抗生物質は結核などの一部の病気には効き目がある一方で、免疫疾患や脳疾患など新たな病気を生む要因の一つと考えられています。最近の研究では、腸内の細菌や微生物が免疫や代謝調節に欠かせない存在であることがわかり、脳疾患や自己免疫疾患、ストレスなど、さまざまな病気や症状との関係性も明らかになってきています。
つまり、その人が持つ腸内マイクロバイオームの違いによって、分解しやすい栄養素や吸収しやすい物質が異なるのです。腸内マイクロバイオームを整えることで、従来は改善が難しかった疾患やストレスへの新たなアプローチの可能性が広がっています。
韓国・水原発、腸内マイクロバイオーム研究の最前線へ。HEM Pharmaのラボに潜入

韓国・ソウルから南へ約1時間。ユネスコ世界文化遺産「華城」を擁する水原(スウォン)は、スタートアップが集積する地域として知られています。この地に本社およびラボを構えるHEM Pharmaは2016年の設立以来、2024年11月にはKOSDAQへ上場するなど、急成長を遂げてきました。

今回、ラボを案内してくれたのは、HEM PharmaCEOであるチ・ヨセフ氏。
生命科学の博士号を取得後、15年以上マイクロバイオームの研究に従事してきました。しかし、最先端のサイエンスはなかなか生活する人々の役に立てるシーンがないことを痛感。そこで、より社会実装の可能性が高い領域として腸内マイクロバイオームに着目し、起業家としてHEM Pharmaを創業しました。チ氏は「腸内マイクロバイオームに“研究の社会実装”という未来を託した」と語ります。

このラボには日々、多くの便サンプルが届きます。約マイナス80℃に厳格に管理され、徹底した清潔環境が保たれています。

「Creating a healthier world and better lives with microbiome technology」HEM Pharma本社に掲げられている言葉には、「マイクロバイオームによって、より健康でより良い生活を作っていく」という強い想いが感じられます。
腸環境を「体外」で再現する。HEM Pharmaの独自技術「PMAS」とは
ここで、HEM Pharmaが腸内マイクロバイオームをソリューションとして社会に実装するための研究を進め、独自に開発した特許技術*「PMAS(Personalized Pharmaceutical Meta-Analytical Screening)」について紹介します。PMASとは、腸内環境を人工的に再現するマイクロバイオーム解析の中心技術です。*特許第7301220号
PMASとは、これまでの研究で用いられてきた2つの技術、
1.第1世代技術(メタゲノム技術):遺伝子検査によって、食品の分解や栄養素の吸収に関わる微生物の個人差を検証
2.第2世代技術(メタボローム技術):微生物がつくり出す有益な代謝産物(ポストバイオティクス)を分析
を組み合わせた、第3世代技術(メタカルチャロミクス技術)であり、日本・韓国・アメリカで特許を取得しています。

「PMASの最大の特徴は再現性にあります」とチ氏は説明します。
便サンプルを一つのプレートに最大96個に均一に分け、体温と同じ温度や腸のぜん動運動を再現することで、腸内環境を体外で再現することができます。便サンプルがある限り、サンプル提供者の腸環境を自在に再現することができるのです。さらに、1枚のプレート当たり96種類もの食品やサプリメントを加え、サンプル提供者に合うものかどうかを検証できます。
たとえば、乳酸菌だけでもその種類は数億にのぼります。自分に合う乳酸菌を見つけるには膨大な時間がかかりますが、PMASの場合はそれほど長い時間をかけずに、結果がわかるのです。

HEM Pharmaのラボでは、検証のプロセスをすべて自動化しています。自動化によって、同一手法・同一条件で検証された非常に良質なビッグデータにつながっているのです。
このラボの自動化については、日本国内でのマイクロバイオームのパーソナライズド・ソリューション提供に関する発表会において、マイクロバイオーム分野の国際的研究者であるキム・ジュウォン氏も、「人の手を使った実験は、どんなに精密にやろうとしても差異が発生する。すべて自動化されていることで一貫性が生まれ、すべてのサンプルが同じ条件で分析できることは、HEM Pharmaのラボの強みだ」と強調します。

実際、筆者もHEM Pharmaによるマイクロバイオーム解析を受けてみました。腸内環境の健康指標であるポストバイオティクスは全体平均よりも高く、腸内マイクロバイオームの多様性スコアも全体標本平均よりも高かったのですが、「ストレスに関わる腸内微生物の数値」および「下痢に関わる腸内微生物の数値」が全体平均より低い状況でした。
この結果は、個人的に常日頃感じている身体の調子と、非常にリンクする内容でした。科学が、自身の感じる「なんとなくの不調」を明確に数値化し、わかりやすい形で提示してくれたという感動がありました。私個人が欠けているものを補う「パーソナライズド・ソリューション」を得られれば、日常生活の中でよりウェルビーイングな状態をキープできる可能性が広がるのではと感じました。
日本アムウェイとの協業で広がる国内での社会実装。パーソナライズな健康への道
すでにHEM Pharmaは、アムウェイと戦略的提携を締結し、研究成果を活かした製品開発やサービス展開を推進しています。さらに日本国内においても日本アムウェイとの協業により、腸内マイクロバイオームのパーソナライズド・ソリューション提供を開始することを発表しました。

チ氏は「消費者の行動はどんどんパーソナライズに向かっているのに、ヘルスケア分野には、パーソナライズされた製品が少なかった。これまではサプリも自分で判断して飲むだけであり、その成分がきちんと効果を発揮する腸内マイクロバイオーム環境を保てているかは、わからなかった」と話します。そして、腸内マイクロバイオームとパーソナライズド・ソリューションというパイオニア的なビジネスには、健康に関心が高いファンとともに市場を作っていくことが必要だと強調します。
そのような観点において、日本アムウェイは非常に健康に対して意識の高い強固な顧客基盤を持っています。チ氏は「アムウェイと協業することで、腸内マイクロバイオームによるパーソナライズド・ソリューションを広めていきたい」と語ります。この協業により、HEM Pharmaの強みである世界最大級の腸内マイクロバイオームデータベース(100,000件超 ※2025年9月時点)はさらなる拡充が期待されます。
両社は、栄養・運動・睡眠などを統合した包括的なウェルネスプログラムへの展開も視野に入れています。今後は両社の協業によって、研究開発・社会実装・消費者接点を一気通貫で展開することが可能になると見込まれます。
腸が握る健康の未来——マイクロバイオームが支える、“予防”という新しい選択
チ氏は「これまでは何らかの症状がでた時に、それに合わせて治療をするという形が取られてきた。これからはマイクロバイオームを調整することで、身体全体の予防をしていく時代が来る」と展望を語ります。
日本は世界的に見ても高齢化が進む社会です。若年からの腸内マイクロバイオーム分析が有効である一方、やはり高齢者におけるヘルスケアのニーズが非常に高い国だといえます。「健康寿命の延伸などに関しても、社会実装のショーケースとなってくれる可能性がある」と、チ氏は日本でのソリューション提供に期待を示しました。
チ氏は腸内マイクロバイオーム研究や社会実装について、今後の展望も語っています。
「腸内マイクロバイオームの分析をすることで、3年後の自分の健康診断結果を事前に予測し、現在の自分の行動を効果的に変化させることが可能です。今後の疾患などを予防していくことで、自分自身の人生は変えられる。それを証明することで、腸内マイクロバイオームを予防医学のスタンダードとしていければと思っています」
研究者であるキム氏も「プロテインの効き目を高めたい、子どもの身長を伸ばしたい、といった多くの人が抱える悩みにも、腸内マイクロバイオームが関係しているといわれています。そういった悩みに合わせて、腸内マイクロバイオームのサプリを摂取できる未来も近いかもしれません」と、よりマイクロバイオームが身近になる展望を述べていました。
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マイクロバイオームは、病気を治すための技術ではなく、健康をデザインするための新たな可能性を秘めています。
HEM Pharmaと日本アムウェイの協業は、科学の力を社会に還元し、“予防”を現実の選択肢へと近づける第一歩なのかもしれません。一人ひとりがより自分らしく健康でいられる社会へ――その歩みは、すでに始まっています。
日本アムウェイ
https://www.amway.co.jp/
※本稿はPR記事です。





