サークルKサンクスが地盤とする中部圏では、ファミマと合わせた店舗シェアが一気に高くなる。このため「健全な競争を阻害する恐れがある」として、公正取引委員会が水面下で統合に関する調査を始め、計画の修正を迫られる可能性も出てきたという。
今回の経営統合は、両社に出資する伊藤忠商事が主導した。サークルKサンクスは総合スーパーマーケットのユニーが運営しており、経営が急速に悪化しているユニー立て直しの一環と位置付けている。サークルKサンクスがファミマと統合すれば、国内の店舗数は約1万7000店と、業界首位のセブン-イレブンと肩を並べる。
しかし関係者は「問題は愛知、岐阜、三重の中部圏における店舗数の多さだ」と指摘する。特にユニーの地盤である愛知県ではサークルKサンクスの店舗は約1200店、ファミマも約550店を出店している。統合すれば愛知だけで約1750店に達し、セブンの930店を大きく上回ることになる。
「このため公取委は、経営統合で一部地域が寡占状態となる事態を問題視し、非公式ながら両社に対し独禁法に基づく調査に入った模様です。公取委は企業による競争排除を監視しており、企業の経営統合も独禁法の審査対象としています。過去にも、日本航空と日本エアシステム、新日本製鐵と住友金属工業の経営統合などに計画の修正を指示したことがあります」(業界関係者)
一方で公取委は、小売業界の再編をめぐって正式に修正を指示したことはない。ただ、家電量販最大手のヤマダ電機が中堅のベスト電器を3年前に買収した際、「一部地域で寡占状態になる」として、複数店舗の売却をヤマダ電機側に水面下で求めたことがあったという。
このためコンビニ業界関係者の間では、「最悪は統合が認められないというケースも考えられるが、通常であれば寡占状態となる地域の一部店舗を第三者に売却すれば、統合は認められるだろう」との見方が広がっている。
しかし、ユニーは愛知県の小売業界にあって「地元の盟主」を自負している。そのプライドから「セブンと店舗数で並ばれる事態は耐え難いのではないか」(関係者)との見方も強まっており、「ユニーが公取委指示に背いて店舗売却を拒否すれば、経営統合が白紙化する恐れもある」との臆測が流れているのも事実だ。
(文=編集部)