コマツとクボタは、隠れたビッグデータ活用先進企業!今後の鍵を握る「カイゼン」のDNA
派手ではないが、先進的なB2B企業のデータ活用
ビッグデータやIoT(Internet of Things:インターネットとモノの融合)、DMP(Data Management Platform:データの収集・利用)などの活用というと、米P&Gや米ナイキ、米コカ・コーラ、米アップルといった派手なCMやキャンペーンを展開する先進的なB2C(対消費者向け)の事例が取り上げられることが多い。
しかし実はB2B(対企業向け)企業が一歩も二歩も先を進んでいるケースも多い。中でも、建設機械大手コマツや農業機械大手クボタの取り組みは、これから日本企業がビッグデータ競争時代を勝ち抜いていく上で参考になる点が大いにあるので紹介したい。
ビッグデータ活用の最先端をひた走るコマツ
コマツのデータ活用導入の歴史は長い。iPhoneやスマートフォン(スマホ)が登場するよりも以前、NTTドコモがi-modeを開始した1999年まで遡る。当時コマツは、建設機械の位置状況や稼働状況のデータを一元管理する「KOMTRAX(コムトラックス)」という独自システムを開発していた。燃費改善のアドバイスなど顧客へのさまざまなサービスの提供や、生産・在庫調整など自社の経営効率化に活用することで、継続的に10%以上の営業利益率を実現することに成功した。
コムトラックスは、世界中の建設機械から建機の位置、稼働時間、動作モードなどの稼働状況や、燃料の残量、消耗品の状況などのデータを携帯電話網や衛星データ通信で収集し、顧客に多様な情報を提供する。コマツが販売する自社機器については情報を見ることができ、顧客は日常行う作業日報の記録・管理や、消耗品交換時期の把握に役立てることができる。
また、コムトラックスで取得したデータを分析することで、付加価値の高いサービスを提供することも可能だ。例えば、各機種の燃料使用量を把握することで、顧客に省エネ運転のアドバイスをし、燃費が2~3割下がることもある。さらに、世界中の建機の稼働状況から、その地域の経済先行きを分析することで、自社における建機生産・在庫調整にいち早く着手することも可能になる。
こうしたコマツの機械稼働管理サービスは今や業界標準となり、同業種の競合建機メーカーだけでなく、ヤンマーなど異業種にまでその活用が広がっている。
競争力を飛躍的に高める取り組み
他社が同様の取り組みを行い、競争優位性が弱まりやすい環境にある中、コマツはさらにその先へと目を向け、データ活用の競争力を飛躍的に高めようとしている。