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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

コマツとクボタは、隠れたビッグデータ活用先進企業!今後の鍵を握る「カイゼン」のDNA

文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員

 実際この取り組みにより、15の田畑でコメがおいしいとされる基準(タンパク質の含有率:5.5~6.5%)が達成され、さらに収穫量についても単位面積当たりで約15%増加し、農家の経営改善に成功している。

データ活用成功のポイントは「カイゼン」

 これまでB2C企業のデータ利用は、カードやポイントで把握できる購入実績データや、スマホやPCで得られるオンライン上の行動データを中心に扱ってきたが、これからIoT時代が本格化することにより、製品から得られる膨大なリアルタイムのデータが新たに加わることになる。

 また、データを活用する範囲も、現在のように広告・販促活動の効率化だけでなく、商品・サービスの機能性向上や、顧客に対するトータルな課題解決の支援へと拡大していくことになるだろう。その際、企業は今まで以上に高性能なデータ処理や分析システム等を備えた高度なシステム構築が必要になってくる。

 ただし、どんなに立派なシステムを備えて多種多様なデータをリアルタイムで集めたとしても、使われない限り、なんの効果も生まれない。そして、一度で効果的な解が出るようなものではなく、PDCAサイクルを何十回、または何百回と回し続けていく中でこそ効果が得られる。気の遠くなるような話だが、これは今まで日本企業が現場を中心にDNAレベルで実践してきた「カイゼン」の世界であり、対象がビッグデータになっても変わらない。

 コマツやクボタなどのB2B企業からデータ活用の取り組み方を知るとともに、従来からのカイゼンのDNAをデータ活用の世界に持ち込むことができれば、日本企業にとってビッグデータは大きな武器になるはずだ。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)

村澤典知

村澤典知

インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。


株式会社インテグレート

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