NEW
高橋篤史「経済禁忌録」

「いつかはゆかし」のアブラハム、営業再開も再び逸脱行為発覚で頓挫 変わらぬ虚偽体質

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

アブラハム・ウェルスマネジメントの本社が所在する東京・虎ノ門(「Wikipedia」より/Ribbon)
 テレビコマーシャルなど大々的な広告宣伝を行いながら、2013年10月に無登録販売で業務停止処分を受けた金融業者のアブラハム・プライベートバンク(東京都港区、高岡壮一郎社長)――。同社グループが体制を再構築し満を持して始めた新サービスが、6月末までに提携先からわずか半年で契約を打ち切られていたことがわかった。誠実さに欠けた同社の体質は相変わらずだったようだ。

 アブラハム・プライベートバンクは業務停止処分が明けた直後の14年5月に、別会社のアブラハム・ウェルスマネジメントを設立。今年1月から富裕層を対象にした新たな会員制金融コンサルティング事業を始めた。サービスの柱は財産保全ノウハウの提供で、同社側が強調するのは「元本確保型」という投資手法。ただし、どのような金融商品が用意されているのかは、入会してみなければわからない仕組みだ。初年度の年会費4万9800円については全額返金保証を謳った。

 ホームページなどを見る限り、あたかも同社が独自に開発したサービスのようだが、実態は、ある証券会社のIFA(金融商品仲介業者)になったにすぎなかった。IFAとは金融商品取引業者と契約することで、その業者が取り扱う投資信託など金融商品を一般顧客に販売できる業態のことで、海外では主要な販売チャネルのひとつとされる。アブラハムが契約した先はPWM日本証券(東京都中央区)で、同社は自社商品を持たずIFA支援に徹している国内では珍しい証券会社だ。

 PWMが取り扱う金融商品のほとんどは国内外の有名投信会社が運用する公募投資信託で、同社ホームページでは誰でも商品メニューを確認できる。どこでも購入できる商品にすぎないともいえるが、PWMは金融知識に長けたIFAが顧客の年齢や資産などに応じ最適な商品を勧める点で手数料の安いインターネット証券などと一線を画している。当然ながら、同社はIFAに対し研修などを施し、その販売ポリシーに沿った営業活動を一般顧客に行うことを求めている。

 ところが、アブラハムはそこから逸脱した販売活動を行っていたようだ。PWMによると、同社の承諾なしにホームページや販売文書をつくっていたという。「元本確保型」などという宣伝文句も、アブラハム側が勝手に持ち出したものらしい。PWMは再三、是正を申し入れたが、アブラハム側は聞く耳を持たなかった。5月中旬、PWMは新規顧客募集の停止などをアブラハム側に申し入れ、続く25日には契約解除を通告。6月いっぱいで正式に契約終了となったという。

虚偽体質


 今回の一件で明らかになったのは、アブラハムグループを率いる高岡社長の相も変わらぬ虚偽、虚栄、虚飾の体質である。

 アブラハムは12年後半から数カ月間、有名俳優を起用したテレビコマーシャルや電車内広告を大々的に展開し、一躍その名が知られることとなった。関連サイトでは竹中平蔵・元金融担当大臣ら有名人と高岡社長との対談記事を頻繁に掲載し、あたかも信用度の高い業者であるかのように喧伝した。立派なリクルート用パンフレットを作成、当時の社員の2倍超に当たる100人もの大量採用計画をぶち上げ、急成長ぶりもアピールした。

 その同社が主力商品としたのは「いつかはゆかし」なる会員制金融サービスだった。投資助言業者であるアブラハムが独立した立場から最適なコンサルティングを顧客に提供し、毎月数万円の積立額でも老後には1億円が貯まるというものだった。主なターゲットは若者で、昨今の公的年金に対する不信感に付け入るかのような販売戦略ともいえた。顧客数は2800人近くに上り、その投資残高は170億円にまで積み上がった。