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ソフトバンクの危機 初のシェア減、“右肩上がり神話”に陰り

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ソフトバンクグループ本社が所在する東京汐留ビルディング(「Wikipedia」より/Jo)
 ソフトバンクグループが創業以来の危機に直面している。総額1兆8000億円を投じて買収した米携帯電話3位、スプリントの経営不振が深刻化して、再建のメドが立たないからだ。

 7月16日の株式市場では、KDDIの時価総額がソフトバンクGを逆転。KDDIは連日の年初来高値更新で時価総額は8兆5516億円(同日終値に基づく計算)に拡大し、ソフトバンクGの8兆4382億円を上回った。終値で逆転するのは2012年10月25日以来、2年9カ月ぶりのことだ。KDDIの株価はその後も上昇。7月31日には一時、3213.5円の年初来高値を更新した。時価総額は8兆4776億円となり、株価下落を続けるソフトバンクG(8兆2617億円)に水をあけた。

 KDDIは携帯電話(au)の契約数や客単価が伸び、16年3月期も連結純利益が4900億円と過去最高になる見通しだ。14期連続の増配を予定しており、業績の安定ぶりから買いが入った。

 また、NTTドコモも業績回復や株主還元策の強化への期待から株価は堅調で、7月16日の時価総額は07年4月以来となる10兆円の大台を回復した。15年3月末時点における携帯電話などの移動体通信契約数のシェアは、NTTドコモが前年同月末に比べ0.2%増の42.4%と14年ぶりにプラスとなった。

 一方、ソフトバンクは0.7%減の29.0%となり明暗が分かれた。ソフトバンクが3月末時点でシェアを落としたのは、旧ボーダフォンの国内携帯電話事業を買収した07年3月以来初めて。KDDIは0.5%増の28.6%だった。

 ソフトバンクは米アップルの人気スマートフォン(スマホ)、iPhoneの販売で先行し、新規契約数から解約数を引いた純増数で独り勝ちを続けてきた。しかし、KDDIに加えNTTドコモもiPhoneの販売を始めた影響で純増数が通年でほぼ半減し、シェアを落とした。

スプリント、深刻な財務状況の悪化


 米株式市場では、スプリントが株価を下げた。7月20日終値は前週末比0.8%下落。前日比の下落率は16%に達した。

「財務状況の悪化を懸念している」

 7月上旬、米経済テレビCNNに出演した通信業界の著名アナリスト、クレイグ・モフェット氏のこの一言をきっかけにスプリント株は売られ、節目の4ドルを割り込んだ。さらにモフェット氏は7月21日付日本経済新聞の取材に対し、「(スプリントは)16年初めにはキャッシュ不足に陥る」と答え、同紙は「目標株価も2ドルと厳しい」と報じている。

 順調に契約数を増やす第4位のTモバイルUSの6月末時点の総契約数は5890万件となり、スプリントの3月末時点の同5710万件を上回った。

 ソフトバンクGの孫正義社長は13年、スプリントの買収で大勝負に打って出たが、同社がTモバイルUSを買収することが前提だった。3・4位連合でベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tという米携帯電話2強と肩を並べるという計画だった。

 しかし、「4社による競争の枠組みを崩すことはできない」との米当局の壁を崩すことはできず、ついに14年8月、スプリントはTモバイルUSの買収を断念。ソフトバンクGの米携帯電話市場への進出計画の頓挫と、マーケットでは受け止められた。