第一中央汽船はNSユナイテッド海運との経営統合に失敗したことが、破綻への道を転がる発端となった経緯もあり、皮肉な結果となった。
東証1部上場の第一中央汽船は9月29日、東京地裁に民事再生法適用を申請した。負債総額は1196億円。同時に申請した子会社分も含めると1764億円になる。東証は同日付で整理銘柄に指定し、10月30日に上場廃止とする。海運業界内でこの倒産に驚く声は聞かれない。
大口債権者は三井住友信託銀行が82億円、三井住友銀行が46億円、MARS SHIPPING CO., S.A.が33億円、みずほ銀行が30億円、今治造船が15億円、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が11億円、住友商事、常石造船、信金中央金庫がそれぞれ10億円。10億円以上の債権者が9社に上る大型倒産となった。
第一中央汽船は第一汽船と中央汽船が合併し、1960年10月に設立された会社だ。旧住友金属工業など国内外の製鉄会社向けに鉄鉱石や石炭を運ぶバラ積み船に特化。中国の資源需要拡大を背景に運航隻数を増やし、15年3月末で170隻を運航していた。
しかし、ここ数年はバラ積み船の市況が低迷した上に、原油価格の高騰でコストが上昇。経営は悪化した。15年3月期の連結売上高は1522億円、最終損益は33億円の赤字。4期連続の最終赤字となり、監査法人から「継続企業の前提に関する疑義」が付いた。
第一中央汽船の救済策として浮上してきたのが、東証1部上場のNSユナイテッド海運(旧新和海運)との統合だった。メーンバンクの三井住友銀行が第一中央汽船の延命策を模索した。
NSユナイテッド海運の15年3月期の連結売上高は1576億円、最終損益は86億円の黒字。両社ともバラ積み船が主体で同規模。両社が統合すれば、バラ積み船では業界3位の川崎汽船を上回る。
誤算
だが、誤算が生じた。一時は第一中央汽船の15%の株式を保有する第2位の大株主で最大荷主だった住友金属工業が、12年に新日本製鐵と合併し新日鐵住金となったことだ。