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楽天、航空事業参入の狙いとは?エアアジアとの蜜月の舞台裏と不安 旅行事業を柱に

文=編集部
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「三木谷氏とフェルナンデス氏は、お互いを“トニー”“ミッキー”と呼び合っているが、強烈な個性の2人がいつまで蜜月関係でいられるか疑問」(航空担当アナリスト)という声もある。両者がぶつかるとすれば増資の問題だろう。新会社は軌道に乗るまで赤字経営が続き、70億円の資本金は目減りしていくため、増資で財務基盤の強化を図ることになるが、エアアジア本体は出資規制に縛られている。楽天が増資を引き受けて筆頭株主になることもあり得る。

 新生エアアジア・ジャパンの発表会見で、三木谷氏は「増資が必要になったら追加で出資するか」との質問に「状況を見ながら判断していく」と答え、「楽天航空は目指さない」と言い切った。当面は、旅行予約サイト「楽天トラベル」でエアアジアの路線を利用した旅行商品を販売して実利をあげることになるが、将来的に本格的に航空事業を手掛けることを視野に入れている可能性もある。

●激動する旅行業界、存在感増す楽天

 旅行業界は、新興勢力が台頭して業界地図が大きく塗り変わっている真っただ中だ。これまではJTBをリーダーに近畿日本ツーリスト、日本旅行、阪急交通社、東急観光など、総合旅行代理店が主流だった。エイチ・アイ・エス(H.I.S.)のような海外の航空券の販売が主体の会社や、楽天トラベルのように国内の宿泊主体の代理店はニッチプレーヤーと見なされてきた。

 ところが数年前に、海外旅行の取り扱いでH.I.S.がJTBに次いで業界2位にのし上がり、総旅客数だけ取ればH.I.S.がトップに立った。国内旅行の取り扱いでは楽天トラベルが躍進した。観光庁がまとめた「平成25年度主要旅行業者旅行取扱状況年度統計(速報)」(13年4月分~14年3月分)によると、楽天トラベルの国内旅行の取扱額は前年度比11.5%増の3448億円。JTBグループ(14社計)の9579億円には遠く及ばないが、13年1月に近鉄系の近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが統合して発足したKNT-CTホールディングス(9社計)の3458億円と肩を並べた。15年には楽天トラベルが国内第2位になるのは確実との見方もある。

 楽天は03年に日立造船から、「旅の窓口」を運営する旅行会社、マイトリップ・ネットを買収して旅行事業に参入した。ホテル予約サイト「旅の窓口」はビジネスユースの顧客に出張用のホテルを安く提供することで評価を高め、ナンバーワンの宿泊客サイトになった。

 従来型の旅行代理店は前もってホテルや旅館の枠を押さえてから販売するが、これに対し「旅の窓口」は出張直前にホテルを探している顧客に、突然のキャンセルで空き部屋ができたビジネスホテルを紹介して、ホテルから手数料をもらう仕組みになっている。ビジネスホテル側は空いた部屋を埋めたいから、安い値段で部屋を提供する。旅行代理店として後発だった楽天は、従来型のビジネスモデルとは違う「旅の窓口」を手に入れたことで飛躍した。「旅の窓口」は日立造船のコンピュータ技術者がシステムを開発したが、果実を手にしたのは楽天だった。

 今年4月1日、子会社の楽天トラベルは親会社の楽天に吸収合併された。楽天はネット通販「楽天市場」と旅行予約サイト「楽天トラベル」をネット上のサービスの柱に据える考えだ。
(文=編集部)

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