脱炭素社会の実現を目指すレジル株式会社は、横浜市と2024年10月に締結した連携協定に基づき、横浜市内のマンションに対する実質再生可能エネルギー100%の電力供給プロジェクトを開始。
このプロジェクトでは、レジルが提供するマンション一括受電サービスを導入済みの市内マンション1棟を対象に、建物全体への再エネ供給を実現。年間約1,000tのCO₂削減効果が見込まれており、民間事業者による集合住宅の脱炭素化モデルケースとして注目されている。
集合住宅の再エネ供給を可能にする一括受電の仕組み
一般的に、集合住宅では各世帯が個別に電力会社と契約し、共用部は管理組合が契約する形態が一般的だ。そのため、全世帯と管理組合がそれぞれ再エネ供給の契約を行う必要があり、再エネ導入の拡大には限界があった。
しかし、レジルの一括受電サービスでは、同社がマンション全体の電力供給を一括して行うため、専有部と共用部を含めた建物全体への再エネ供給が可能になる。これにより、住民が特別な手続きを行うことなく、自然と脱炭素に貢献できる仕組みが実現した。

対象マンションとの連携と今後の展望
今回プロジェクトの対象となる「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」は、横浜市の「よこはま防災力向上マンション認定制度」に認定されており、防災対策にも積極的に取り組んでいる。レジルは、再エネ供給に加え、太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせた「マンション防災サービス」の提供も視野に入れ、エネルギーの有効活用と災害時の電力供給機能の強化を図るという。
同マンションの理事長は、「100%再生可能エネルギー供給プロジェクトに参画することで、住民として持続可能な社会への貢献を感じる機会が増えると考えています。また、節電への意識向上や行動変容、家族や地域コミュニティとして環境問題について考える機会が増えることを期待しています」と話す。
横浜市とレジルの連携協定の背景
横浜市では、2030年度までに温室効果ガス排出量を50%削減し、2050年にはカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。市内のCO₂排出量の約3割を占める家庭部門の排出削減が課題となっており、レジルとの連携協定は、家庭部門の脱炭素化を推進するための取り組みの一環となる。
横浜市脱炭素・GREEN×EXPO推進局 脱炭素社会移行推進部 脱炭素ライフスタイル推進課長の雨堤久美氏は、「今回のプロジェクトによるCO₂削減量の見込みが約1,000t/年間と非常に高い効果があることがわかりました。市内の約6割を占める集合住宅で再エネ電気の導入が進めば、2030年のハーフカーボン、2050年の脱炭素社会の実現に大きく貢献するものと期待しています」と語る。
今後の展開
レジル株式会社は今後も他の自治体との連携を進め、持続可能な脱炭素社会の実現に向けて、テクノロジーの活用と意識改革の両面からアプローチしていく方針を示している。
今回のプロジェクトは、住民に対して特別な設備投資や生活スタイルの大幅な変更を求めることなく、「脱炭素を、難問にしない」という同社の理念を具現化したモデルケースと位置づけられている。こうした取り組みにより、今後も地域社会との協働を通じた脱炭素化の推進が期待される。
■レジル株式会社
「結束点として、社会課題に抗い続ける」をパーパスに、エネルギーの最適制御を通じて脱炭素社会の実現を目指す。分散型エネルギー、グリーンエネルギー、エネルギーDXの3事業を展開し、企業・生活者・自治体向けに無理なく脱炭素に貢献できるサービスを提供。