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4〜6月は残業するだけ損? 同じ年収でも社会保険料に大きな差

文=長尾義弘/=長尾義弘/フィナンシャル・プランナー
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 4〜6月は残業するだけ損? 同じ年収でも社会保険料に大きな差の画像1ノー残業で空いた時間は婚活だー!(「足成」より)
 ここ最近、年金問題などで何かと話題になっている社会保険料。社会保険料とは、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、介護保険料のことである。会社員の場合、毎月の給料からこれらの保険料を支払っているわけだ。もっとも、誰もがみな同じ金額を支払っているのではなく、収入が多ければ支払い額も多くなり、収入が少ない人は負担が小さくなる仕組みになっている。

 給料からの天引きだと無頓着になりがちだが、この社会保険料が年々アップしている。年金改革によって、厚生年金保険料は2011年から17年まで、毎年0.354%ずつ引き上げられているのである。社会保険料の金額は、国が定めた基準に則って計算される。そして1年ごとに見直しが行われ、9月から翌年8月までその金額が適用されることになる。

 ここで、ひとつ質問。AさんとBさん、年収を比べるとAさんのほうが多い。しかし、社会保険料はBさんのほうが高いということはあるだろうか? 答えはイエス。社会保険料の仕組みから考えると一見矛盾しているようだが、じつはこんな奇妙な現象が起こりうるのだ。

 その理由は社会保険料の計算が、年収ではなく「標準報酬月額」をベースにしているためである。標準報酬月額は毎年4~6月のみの報酬の平均から算出され、その額をベースとして、その年の9月〜1年間の社会保険料が決定する。これに、賞与に一定の保険料率を掛けて算出された社会保険料も加算される。つまり、この3カ月の収入いかんで、社会保険料は大きく違ってくるのである。

 標準報酬月額に含まれるのは、基本給、残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、当直手当などだ。いっぽう、出張費、交際費、祝い金、見舞金、退職金などは含まれない。標準報酬月額によって、社会保険料にどのくらい差が出るのか、具体的な数字をあげて見ていこう。

 たとえば、通常の月額給与が22万円、40歳未満で介護保険料を払っていないとする。これが25万円に増えるとどうなるか?

・標準報酬月額 22万円の場合
 健康保険料 10,967円 厚生年金保険料 18,053円

・標準報酬月額 25万円の場合
 健康保険料 12,961円 厚生年金保険料 21,335円

 ⇒ 差額 (12,961円+21,335円)−(10,967円+18,053円)=5,276円

 ご覧のように、標準報酬月額が3万円増えると、ひと月あたり5,276円も多くの社会保険料を支払うことになるわけだ。年間では63,312円多く支払うことになる【編註:実際の負担は、企業と従業員の折半】。

 厚生年金保険料は多く払えば払っただけ、将来の受け取り額も増えるが、健康保険料はいくら払っても医療費の自己負担は3割で、同じサービスしか受けられない。

 社会保険料を上げたくないなら、4~6月の残業は抑えたほうが無難である。
(文=長尾義弘 フィナンシャル・プランナー)

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