元外資系部長、ユニクロ元マネージャーであり、現在『とくダネ!』(フジテレビ系)コメンテーターとしてもお馴染みの田中雅子氏。長年現場のマネジメントにたずさわり、数々の全社プロジェクトを成功させ、企業成長を支えてきた田中氏が、ビジネスパーソンが自らをリーダーに成長するためにやるべきことを指南する。
私は、中間管理職を「中心管理職」として位置づけています。では、この職位につく役職手当とは、どのような意味を持つのか? 今回は、ここにスポットを当てましょう。
前回この連載で、「業務改善で大切なのは、まずはやめること」だと書きましたが、実際には、毎日やっていることを突然やめるというのは、「業務が止まるのではないか……」という心配も生まれ、かなり勇気が必要です。
以前私は、全社員が常に(文字通り)小走り状態で仕事をしているような会社にいました。皆が「話しかけないでオーラ」を発して仕事に集中していました。そのような中で、「何か変えてみようよ」といっても総スカンになるのが目に見えていました。だから、「どうやったら、こんなに忙しい人たちに協力をしてもらえるか?」という戦法を考えなくてはいけなかったのです。
基本的には、いろんな社員の話を聞いていくことしかありませんが、そうやって聞いていくと、現場で日々仕事に追われている人たちも、常に現状をどうにかしたいと考えているのが見えてきます。
そして、部下たちの発信するこうしたSOSを敏感に察知し、この「どうにかしたい」に火をつけてあげるのがリーダーです。
そのために、例えば私の場合は、期初とか期末など区切りの時に、チーム全員で何か目標となる数字を決めました。
「30%会議時間を減らしましょう」
「この業務は、毎回3時間かかっているところを、これからは1時間で終えるようにしましょう」
など具体的な目標数値を決めると、意外とわかりやすく、ゲーム感覚で達成感が見えやすくなります。出来ると楽しくなってきて、また次! となるのです。もちろん始めるときは反発も起きますが、それは織り込み済みです。
「やらなくてもいいこと」
「無駄なこと」
「改善すべきこと」
これらはお金をかけなくてもすぐに見つけ出せて、できるわけです。多くの会社の場合、お金がかかると決裁が必要になるわけですが、お金がかからなければ決裁はいらない場合が大半ですから、素早く行動に移せて、成果に結び付けることができます。