アップル元代表・山元賢治、日本の優位点をアフリカまで持って行け!
アップルジャパン元代表取締役として、日本におけるiPhone、iPadなどのアップル旋風を主導した山元賢治氏。複数の外資系企業時代から現在に至るまで、世界中を渡り歩き、無数の企業、若者と接する中で山元氏の心に湧いてきた、「最高に素敵な国・日本」のビジネスパーソンに向け、今どうしても語りたいこととは?
「日本のどんな所が好きですか?」
前回連載の終わりに、こう皆さんに質問させていただきましたが、いかがでしたか? 前回から数週間が経過しましたが、「日本の好きな部分」はたくさん頭に浮かびましたでしょうか?
私なりにいくつか思いついたものを、列挙してみようと思います。私の場合は海外を仕事で飛び回っていて、つまり「外」から日本について振り返ってみて、気づいたことが多いです。皆さんもそうじゃないかと思います。安全で安心な日本という国に暮らしていて、普段は当たり前だと感じていることが、実は大きなアドバンテージだったり、魅力だったりするのです。
■整備・舗装された道路
いろいろな国を訪れて、はっきりと国力や住みやすさの違いがわかる指標の1つだと思います。
■食品の安全
油や調理法、食材を含めて、心の底から安心して口に運ぶことのできる品質が当たり前に確保されている。
■食品だけでなく、工業製品やサービスに対しても、国民の品質要求が高い。またその高い品質要求に応えるだけの、製品やサービスを提供できる風土や人がいる。
■清潔な生活環境
マラリアや狂犬病の予防接種をしなくても暮らせる国。
■暴動やクーデターなどが起こりにくい安全な国。テロなどの被害にも遭うことが稀。
■実際に卓越した経済的成功を遂げた経験がある。戦後の急速な成長と成功を成し遂げた人がいる。
このように、「日本の好きな部分」を考える過程はすごく大切だと感じています。特に最近の日本の皆さんは、自分たちに自信を失いかけていることもありますが、日本の好きでない部分ばかりが目につく毎日だと思います。確かに、海外における日本の電化製品の売り上げなどはこの数年で明らかに不振になり、劣勢に立たされている部分もたくさんあります。そして、それらは残念ながら事実です。
日本の良い部分を知らずして、海外へ行くべからず!
では、日本の皆さんが海外に出て、その国の人に対して”他人事”のように、「自分だけはいい人なのだが、日本全体で見るとこんな部分が良くない」というような話をしていたらどうでしょうか? 海外の多くの人は、まだ日本への憧れや尊敬のような気持ちを抱いています。