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ガンバ大阪をつくった伝説のパナソニック元営業所長が斬る!

悪い奴=部下は悪いまま生かして、最大限の成果を引き出せ!

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『人を活かす12の鉄則』
(PHP総合研究所/松下幸之助)
パナソニック時代は、全国各地の営業所長や販売会社代表を務め、赤字経営の再建や合併に辣腕を振るい、あの松下幸之助に直接指導を受けた大西宏氏が、社会人が知っておくべき"体験的"ノウハウを伝授する。

 私が、パナソニックで音響・映像機器などの商品企画のマネジャーだった頃、私の部下に遊び好きで風変わり、ファッションを凝りまくって冒険的な男・A君がいた。要するに個性的な男だ。ところが、遅刻が多かったり、みんなの輪に深入りしようとせず、上司に忠実というイメージからは余りにもかけ離れた「悪い奴」だった。

 いちばん困ったことは、勤務時間中にときどき行方不明になることだった。どこで何をしていたのか今もわからない。そんなことから、歴代の上司はチームワークの阻害要因として、いささか手を焼いていた。しかし、不思議に仲間や若い社員、女性社員から一目も二目も置かれていたのだ。

 この手の人物は往々にして、ただ「反抗的」「ガマンができない」「目立ちたいだけ」という変人もいっぱいいるので要注意だが、彼はそれとは少し違った。「ここ一番」という時の商品や販促のアイデアに、遊び心があって型破り、奇抜なものをぶっ放した。

 そこで私は彼に、「君はもっと規律やコミュニケーションを大切にしたほうが、周りの協力も得られて、君の優れたアイデアを生かせるのでないか?」とアドバイスをしようとしたが、野生のライオンに対して「飯にありつくために檻に入れ」というのと同様、反発を招くだけだと考え、その言葉を呑み込んだ。

泳がせて要求する腹芸

 彼をそのまま抑えつけずに、しばらく泳がせることにしたのである。それは、彼の機嫌を取るというのでなく、あまり枠をはめると「ビッグアイデアが出なくなるのでは?」と恐れての腹芸だった。彼の肩を持つわけにもいかず、ある種の緊張関係は保ったままにしたのである。そしてその分、商品企画アイデアの提出だけは、それまでよりも高いレベルのものを、より多く要求した。

 その結果、A君は次のような常識外のアイデアで、大ヒットを次々と生み出した。

・普通ステレオには、テープデッキはひとつしか付いていなかったが、2つ付けることによって、左右に並ぶデッキの右から左へホイホイとダビングすることが可能になった。これは「ダビング工場」というネーミングで発売され、大ヒットした。

・テレビやオーディオをセットでおしゃれな純白のケースにはめ込んで、「キュービック(立方体)」という商品ブランドとした。人々の関心がファッションからインテリアに向きつつあった時代、これまた大ヒットとなった。

・ギャル向きオーディオを7色展開して、店頭展示台数も販売も激増させた。これにより、ハイファイ・オーディオといえば、マニアや男性ヤングのものであったのが、若い女性にも解放され、革命的変化がもたらされた。