1月25日、住宅・不動産サイト「オウチーノ」を運営する株式会社くふう住まいは、2022年7月~12月期間における当サイトへのアクセス数をもとに「オウチーノ・首都圏人気駅ランキング」(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)を発表。そこで、首都圏1位を獲得したのは神奈川県相模原市にある「橋本駅」だった。
橋本駅といえば、JR横浜線、相模線、京王電鉄相模原線が乗り入れ、神奈川県と東京都の県境に住む人々の交通の要所として知られている駅。郊外地域にありながらも、横浜駅、新宿駅まで40分ほどとアクセスの良さが魅力であり、駅周辺には大学キャンパスや大型の商業施設が軒を連ねているためショッピングの便も優れている。また2027年開業予定の「リニア中央新幹線」の設置駅でもあることから、さらなる発展が期待される駅でもある。
そこで今回は実際に橋本駅を訪れてみて、現地でわかった街の様子を観察し、忖度ナシで利便性や住みやすさをレポートしていきたい。
北口は大型商業施設が集合している
訪れたのは平日昼間だったが、駅構内は人通りが多く、なかでも若者の割合が高めであることに気づいた。橋本駅は半径5km以内に10の大学キャンパスが位置する場所。多摩美術大学や法政大学多摩キャンパスなどがあり、橋本駅自体がターミナル駅であることを踏まえると、学生にとって住みやすい街なのかもしれない。バス乗り場は11もあり、基本的に学生は橋本駅からバスに乗り換えて通学することになる模様。
ちなみに駅構内は「ユニクロ」「スリーコインズ」といった雑貨、ファッションブランド店からパン屋、花屋まで多彩な店が立ち並び、通勤、通学中のちょっとした買い物に適している店が多い印象だ。
改札ホームを抜けて北口のデッキへと進むと、目の前に大型の商業施設が現れた。北口から右手側にある「ミウィ橋本」は2001年にオープンし、「ユニクロ」や「有隣堂」「無印良品」などのテナントが出店する北口きっての複合商業施設となっている。そのほか、「ロピア」「ルピシア」などの食品店や5階にあるレストランフロアなどバラエティに富んだお店も満載。
ただ施設内の人通りはさほど多くはなかったので、平日であれば人混みを気にせず訪れることができそうだ。客層は大学生ぐらいの若者、女性グループが多く、友人同士で訪れているイメージ。ちなみに、6階には相模原市の公共施設「相模原市立橋本図書館」、7-8階には集客ホールである「杜のホールはしもと」があり、市民の憩いの場となっている。
そして北口から左前側にある「イオン橋本店」も橋本駅近隣の主要商業施設だ。ミウィ橋本を超える規模のショッピングモールとなっており、客層は家族連れや主婦が多かった。テナントの構成も客層を考慮してか、家族向けのファッション、食品コーナーが面積を占めている。日用品や生活用品を買いに来る目的の客向けの店舗設計となっているため、日ごろの買い物ならばここで十分だろう。
また左側には駅直結となっている飲食チェーンが集まる「味の食彩館」という建物も。「餃子の王将」「日高屋」「てんや」といったメジャーチェーンをはじめ、ローカルチェーンも多く、さまざまなジャンルの飲食店が入っている。勤務終わりの外食や飲み会で利用できそうな店となっていたので、会社員や学生向けのスポットといえるかもしれない。
駅周辺を抜けると一気に静かに…
大型の商業施設が目立った北口デッキ付近。しかし、そこからさらに北側は、一気に閑静な通りへと変化した。デッキから下の通りへと階段で降りると、車通りの多い大通りへとたどり着く。橋本駅は仮にもターミナル駅なので、これほど車が多かったのは正直意外だった。また歩いている人は少なく、ほとんどが自転車に乗っていた。近くにあるイオンでも、大きな駐輪場が整備されていたので、橋本付近は自転車利用者数が多いのかもしれない。
大通りの交差点に向かうと、パチンコ店や銀行の姿が。しかし、銀行には個別の駐車場はなく、どこか有料の駐車場に停める必要がありそうだ。橋本駅近くで場所が限られているとはいえ、専用の駐車スペースがないのは若干生活しにくいのではと思ってしまった。
さらに北のほうを進んでみたが、「アパホテル」「スーツのアオキ」など見知った店がポツポツとあったものの、基本的には道路と住宅街が広がっていた。また駅から続く歩道が狭いので、車に気を付けて歩いたほうがよさそうだ。
これ以上は、目新しい施設はないと感じたので次に北口付近の施設まで足を運んだ。北口から2分ほどの場所にある「ビーズモール」には、おしゃれなラーメン屋や居酒屋が入っており、北口デッキ付近とは少し毛色が変わった飲食店が目立った。
そのまま北口線に沿って北西に歩くと、整備されたレンガの歩道が続き、どこか洒落た広い空間へと出る。飲食チェーンが多かったデッキ付近と比べ、落ち着いた小規模経営のお店が増えたことに気づく。よくよく観察すれば、掘り出しものの名店も出てきそうな雰囲気を感じた。
ただそれ以上に気になったのが、高層マンションの数だ。北口デッキを抜け出してから線路沿いを中心に高層マンションが増えていき、デザインもシックなものがほとんどでおしゃれ。ここ一帯は、リニア新幹線開通によってさらにマンション需要が高まるのではないだろうか。
南口はリニア新駅の工事現場が広がる
では続いて南口付近を探索してみよう。南口は、建物が少ない代わりに工事現場が広がっている。ここはリニア中央新幹線「神奈川県駅(仮称)」建設地域であり、多くの作業員が作業に勤しんでいた。工事は2027年3月31日まで続く予定だが、リニアは開通が何度も延期されているので、仮に予定日までに新駅建設が終わったとしても、開通自体はもっと先になる可能性もある。橋本駅周辺への引っ越しを考えている方は、JR東海の今後の発表を待つべし。
南口付近は飲食チェーンこそあれど、全体的にさっぱりとした空間が広がっており、物寂しい印象を受ける。だが南口から徒歩7分ほどの場所にある「アリオ橋本」には、約130ものテナントが出店する橋本最大のショッピングモールであり、規模だけでいうと前述したミウィ橋本、イオン橋本を上回っている。大規模駐車場が完備されているので、自動車でも行きやすいだろう。
最後に橋本駅周辺の家賃相場情報について見てみよう。物件情報サイト「SUUMO」によれば、橋本駅の賃貸マンション(1K)の相場は7.3万円。正直、意外と高いという印象を受けた。これは都内でいうと練馬区と同等の水準。都営大江戸線練馬駅から新宿駅までは20分程度と、橋本駅に比べて2分の1ぐらいの時間で向かうことができる。
とはいえ橋本駅周辺は都心と比べれば圧倒的に人通りが少ないし、都会の喧騒を気にしないで過ごせるのも良いポイント。日常的な買い物も不便なく済ませることができるし、総合的に見れば横浜、新宿へのアクセスも良いのでおすすめのエリアといえそうだ。
メリットの多いエリアだということは間違いなさそうだが、あとは家賃相場を高いと捉えるか、適正価格と捉えるかによって、橋本駅の見方が変わるのではないだろうか。気になる方はぜひ自らの足で訪れてみてほしい。
(取材・文=文月/A4studio)