リストラ策を発表。
そこで、実際にルネサスで働いている社員・A氏に、一連の報道に対し社内ではどのように受け止められているのか? などについて話を聞いた。
――今回のリストラの話を聞いたのはいつですか?
A氏 報道で知ったのが初めてです。最初は6500人程度のリストラ報道で、「聞いてないよ!」と。そのあと、1万人以上の大規模リストラ報道が出ましたが、社内的に情報が下りてきたのは、報道されてからですね。報道直後は、リストラの数だけが出てきて何が起きてるかわかりませんでしたが、そのあとに、労働組合側が「どうなんだ!」と経営側に問いただすじゃないですか。それに対し、一応の回答が出されました。
――会社からの回答は、どんな内容でしたか?
A氏 「報道の内容は、当社からの発表ではありません」といったお決まりの言葉だけで、現時点(5月31日)でも具体的な数字などは出ていません。おそらく知っているのは経営陣だけでしょう。ただ、報道ですでに出ていますし、社員には匂わせてはいると思います。僕らも、このままではやっていけないのはわかっていましたし。
――社内的には、この話はどのような感じで受け止められていますか?
A氏 いよいよ、きたか、っていう感じですね。もともと人数が多すぎるということはありましたし。日立製作所、三菱電機、NECの3社が合体した会社で、これまで大きなリストラはしてこなかったわけですし。
――出身母体の異なる社員の間で、確執のようなことはあったりしますか?
A氏 そういうのは、あまりないと思います。少なくとも、日々外部と接するような部隊には。でも、設計部署などでは、設計の仕方だったり、どっちの技術を使うかといったことで、いろいろある模様ですね。
――社内的には、以前から危機感のようなものはありましたか?
A氏 それはありました。売上推移とか見ればわかるじゃないですか。
――どのあたりで実感しますか?
A氏 やはり製品価格ですね。どこのメーカーでも一緒だと思いますが、最終製品の価格が下がっているじゃないですか。世界的に見て、日本企業の競争力は落ちていますよね。パナソニックやソニーでさえ、あのありさまですから。で、そうした企業は、僕らのお客さんでもあるので、そういう状況になれば僕らも引きずられるんです。今はホント、製品自体は価格だけの世界ですね。価格、価格、価格……と、日本の中でも価格競争になってしまってます。
人件費が価格に重くのしかかる
――国内や国外の競合他社と比べて、ルネサス製品の価格は高いほうですか?
A氏 高いほうだと思います。価格には結局、その会社の経費も含まれますよね。当然、社員が多いと、それだけ大きなコストがかかってしまいます。今のお客さんは性能よりも価格を優先していて、性能に差があっても、価格の安さを選ぶ傾向にあります。最低限の要求さえ満たしていれば、それでいいと。