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【4】産業医とグルで、社員を脅迫する一部始終を公開!

PwC社員語る「名門コンサルは”恐喝”クビ切り法も一流」

文=新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役
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PwC社員語る「名門コンサルは"恐喝"クビ切り法も一流」の画像1就職先として学生に人気のプライスウォーター
ハウスクーパース。(「同社HP」より)
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『さんまのホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない、あの一流企業の”闇”を暴く!

 今回は「社会的な存在である大企業が、裏でやっているブラックな手口」について述べていこう。これまで一部メディアで報道され、ネット上ではものすごい反響があったものの、大手メディアは一切採り上げない話題だ。 

 登場するのは、世界的にも大手のコンサルティング会社「プライスウォーターハウスクーパース」(以下、PwC)と、日本での4大法律事務所のひとつ、「森・濱田松本法律事務所」(以下、森濱田)だ。いずれも、その方面を志望する学生たちからは憧れの対象となるような大手有名企業だが、実態はどうだろうか?

 実は私の元に、PwC関係のリーク情報が大量にもたらされたことがある。内容は、PwC(旧PwCアドバイザリー。10年1月に同社とPwCコンサルタントが経営統合してPwCが発足)が、「顧客企業の依頼を受け、産業医によるカウンセリングという手段を利用して、従業員を辞めさせるように仕向ける実態」を暴露したものである。 

「産業医が社員を辞めさせる」とはどういうことか?

 まず産業医とは、「職場で労働者の健康管理にあたる医師」のことである。これには大きく2種類あり、

・非常勤の産業医。自身でも病院を経営しており、産業医の仕事はアルバイト、もしくはボランティアのような気持ちで引き受けている。
・常勤、専任の産業医。企業に常駐し、収入はその事業所からの報酬による。そのため、立場的には一社員と同じような存在となる。

と分かれる。多くの産業医は誇りをもって仕事をしているが、中にはモラルがなく、
「上司からの指示」という感覚で会社の片棒を担ぐ医師も存在するのだ。

 どんな片棒かというと、社員の解雇である。 

会社が産業医とグル!?

 日本では労基法の問題もあり、会社側が簡単に社員をクビにできない。そんなとき、一部の大手企業では産業医の存在を利用する。会社が産業医とグルになり、次のようなやり口を使って「会社にとって都合の悪い社員」を追い込み、”自主的に”退職させるのだ。 

(2)産業医は対象社員を「精神的に問題がある」「統合失調症だ」などと診断して、本当に精神科の病院へ入院させるなどの「治療」を行い、それを理由に退職勧奨を行ったり、合法的に解雇したりする。

(3)入院してしまうと、報道、捜査機関や弁護士が面会することも困難になり、法的対応ができず、隠蔽が完了する。当該社員は泣き寝入りするしかない。また、その後に当該社員が治療しようが自殺しようが、保険が使えるので会社としての出費はない。

 このあたりのやり口は実に巧妙であり、多少の説明を要する。

 通常、病気を理由に一方的に解雇するのは「不当解雇」に当たり、違法行為である。 しかし、会社側が「治療を受けるように促す」、その上で「精神疾患の診断書がある」といったかたちで「社員の立場に寄り添った対処」を行い、「退職勧奨」を出せば、不当解雇には当たらないのだ。また、診断書の段階で「心身の疾患により勤務に耐え得ない」という判断になれば、それは正当な解雇理由に該当することになる。

 また、社員側が「事実無根の不当解雇だ!」と主張したくても、裁判に持ち込むには「証拠」が必要となる。しかし、入院して産業医の判断で「面会謝絶」扱いとなれば、社員本人と外部が接触することは難しくなる。それで裁判に持ち込まれる可能性も低くできるというわけだ。

 さらに会社側にとって都合がよいのは、入院した場合の治療費について、「精神疾患治療のため」という名目で医療保険が使えることだ。このカネが、本人には治療費、もしくは和解金といったかたちで支払われるので、被害にあった社員も同意するケースが多い。

 これら一連のやり口は、会社が産業医とグルでなくてはできない方法だ。法律や判例まで踏まえて組み立てられた、かなりブラックな手口といえよう。 

脅迫現場に、あらた監査法人も同席

 では、PwCでは具体的にどんなことが行われているのか。リーク情報のうち、「PwCの産業医が、PwC社員に脅迫言動を行っている録音記録」の内容を、可能な範囲で以下に記しておこう。ちなみに発言は少ないが、この場にはPwCのグループ会社である、あらた監査法人の人事マネジャーが同席している。したがって、これはいち産業医の逸脱した行為ではなく、PwCの指示監督下で行われていることは明らかである。

【登場人物】
 ・A氏 (PwCを辞めさせられる人)
 ・B氏 (PwCの産業医)

【概要】
産業医B氏が、精神的苦痛を訴える社員A氏に脅迫的言動で退職を迫っている。

【録音内容】
以下、B氏による脅迫的言動の一部である。
「あなたの言ってることはよくわからない」
「あんたのとってる行動は怖いことです」
「ほら、また『納得できない』ですか。あなたにとって納得するっていう行為は難しいことですからねー。それさえも自分でわかんないんじゃないですか?」
「医師の判断に背いたってことなんだから、責任とってもらいます」
「あなたの家族や会社の人、あなたのことを知っている友人に、医師の判断で(A氏の病状を)情報開示できるんだからね。これは個人情報保護法の例外規定です」……

 一連のやりとりの中で、A氏の精神状態は更に悪化してしまったようだ。

産業医=社員は、会社の指示に従っただけ

 こういった場合、「会社と産業医がグル」というよりは、産業医も給料をもらっている以上、会社の指示に従ってやっているだけ、という認識が多いようである。

 そして、このPwCの代理人が森濱田のT弁護士だ。T氏はオリンパスや野村総研をはじめ、その他契約先となっている大手企業でも、このような手口を指導していると、裁判所の公開文書からも明らかになっている。 

 しかし、このような悪質な実態があるにもかかわらず、なかなかニュースとして報道されることはない。なぜなら、万が一産業医の悪質な実態が立証されても、「それは産業医が勝手にやったこと」とし、次に産業医と弁護士の繋がりが立証されても、「弁護士も勝手にやったこと」として、会社の関与を否定することで会社を守るようになっているのだ。日本の裁判は証拠至上主義であるから、当事者たちが自白をしない限り、この実態が表に出ることはない。確固たる「責任逃れのシステム」といえよう。

 さらに、社内規定などで自社の悪態が漏れないよう、縛りを入れている企業もある。例えば、昨年8月、不当労働行為を受けたとして、現役社員から損害賠償を求めて訴えられ、全面敗訴したオリンパス(現在、同社は最高裁に上告中)。同社の社内規定には、「社外で当社の信用を毀損する行為を行った場合は懲戒解雇」という条項があるために、社員に取材してもなかなか真実を言いにくいという実態があるのだ。

 大企業の裏はまだまだブラックで、深い。次回は、さらに突っ込んでお届けしていきたい。
(文=新田龍)

<目次>
【1】みずほ銀行社員語る「アジア出張では幹部も本番フーゾク!?」
【2】オリンパス社員語る「会長訓示『粉飾は大したことじゃない』」
【3】ルネサス社員語る「社員をもっとクビにしないと会社潰れる」

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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