国内ユーザー数でFacebookに抜かれたmixiの行く末と逆転策
明け渡したmixiのサイトより。
現在のソーシャル × モバイル化へと続くWeb2.0時代の到来をいち早く提言、IT業界のみならず、多くのビジネスパーソンの支持を集めているシリアルアントレプレナー・小川浩氏。そんな“ヴィジョナリスト”小川氏が、IT、ベンチャー、そしてビジネスの“Real”をお届けする。
ついに日本国内最大のSNSの座が、mixiからFacebookに入れ替わった。
月間アクティブユーザー(月に一度でも利用したユーザー数)において、両者とも現在1500万人前後であるが、mixiは1400万人台に減少し、反対にFacebookは7〜8月の数字で一気に500万人近く利用者を増やし、mixiを追い抜いた。
僕は著書や講演において、2013年1月までに必ずFacebookがmixiを抜くと公言していたが、予想は的中したわけだ。mixiはゲームプラットフォームとしてはDeNAやGREEに遠く及ばず、匿名のコミュニケーションプラットフォームとしてはTwitterにその座を奪われ、リアルな人間関係と強く連携するソーシャルプラットフォームとしても、Facebookにもはや対抗する手段が見当たらない。
まして、国産のソーシャルサービス(と言い切っていいかは少し微妙ながら)として急成長しているLINEは、SNSではないながら、世間の大きな注目を集め、知名度の面でもmixiを追い抜く勢いである。LINEがソーシャルメディア化するかどうかはわからないし、実際にそうできるかどうかわからないが、とにかくmixiを取り巻く環境はよくない。
ビジネスSNSという分野でも、サイバーエージェントが和製LinkedInとしてオリジナルSNS「intely」をスタートして、年内100万ユーザーを目指すというし、ソーシャルネットワーク市場におけるmixiのプレゼンスは下がるいっぽうである。
再浮上は難しいソーシャルネットワークの世界
一度大きく勢いを失ったソーシャルネットワークは、決して再浮上することができないというのが世界的な通説だ。FriendsterやMyspace、Diggやorkutもいったん勢いに陰りが出ると、その後は見る影も無く表舞台から消え去っていった。mixiにもその危機が忍び寄っている。
もちろん、アクティブユーザー数が逆転されたからといって、mixiがいきなり消滅するわけではない。なにしろFacebookに抜かれたとはいえ、現時点でも1000万人を遥かに超える利用者がいるメガSNSだ。それだけのユーザーベッドがあれば、以前のような輝きを取り戻すための方法は、まだまだ数多くあると言える。
採択すべきではない戦略
逆にmixiが採択するべきでない戦略は、焦りのあまりに自社サービスを大きく変化させたり、ライバル企業の長所を模倣しようとすることだ。こうしたコピー戦略をとるにはすでに遅すぎる。コピー戦略は、絶対的に強さを保っている時期にしか効果はない(拙書『ソーシャルメディアマーケティング』<ソフトバンククリエイティブ>ー「第三章
防衛戦――市場リーダーの場合」を参考にしてほしい)。
すでに王座を陥落した今は、慌てて他社サービスを真似た機能を部分的に取り入れたりすると、自社サービスの良さをスポイルしかねない。部分的に実名制への移行に手をかけ、すぐにとりやめたりしたことや、足あと機能を捨てたこと、不完全なmixiページのリリースなどはまさしくそういう弊害だと考える。