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成功する条件をすべて欠いたテーマパークを、わずか1年で黒字化した舞台裏

HIS澤田会長が激白!ハウステンボス再建の秘訣は“運”

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『運をつかむ技術』
(小学館/澤田秀雄)
 昨年、1992年の開業以来初の営業黒字を計上したハウステンボスの業績が引き続き好調だ。2012年9月期の業績見込みは、売上高160億円(前年比21.2%増)、営業利益22億円(108.3%増)となった。入場者数は190万人(5.5%増)、宿泊者数は27万人(3.8%増)。東日本大震災で消費が冷え込んだ中で、集客力が高まっているのだ。

 好調な業績の柱になったのはイベントで、今期は「大チューリップ祭」「ドラゴンクエスト展inハウステンボス」「100万本のバラ祭」「幻のゴッホ展」などを開催している。「良いイベントを行うと売り上げは右肩上がりになり、悪いイベントを行うと売り上げは右肩下がりになっていく」(ハウステンボス社長・澤田秀雄氏)という。

 10年にエイチ・アイ・エスの傘下に入り、同社の澤田秀雄会長がハウステンボスの社長に就任してわずか1年での黒字計上は、澤田氏の経営手腕の成果にほかならない。この澤田氏は佐世保市長の朝長則男氏にハウステンボスの経営を要請されて2回断り、3回目の要請で応諾した。

 去る10月19日、都内で開かれた自著『運をつかむ技術』(小学館)の出版記念講演会で、澤田氏は「私には何事も3回頼まれると断れない体質があります」と打ち明けながら、ハウステンボス再建の舞台裏を打ち明けた。実は澤田氏は、野村プリンシパル・ファイナンスがハウステンボスの再建を引き受ける前に、その是非について相談を受けた際、「やめたほうがよい」と見解を述べたという。

 澤田氏によると、そもそもハウステンボスには、

(1)商圏が大きい(例:東京ディズニーランドは首都圏2000万人市場)
(2)アクセスが良い
(3)ブランド力がある
(4)イベントのノウハウがある

というテーマパーク経営の条件がすべて欠けている。再建は難しいと考えて、野村に助言したのだ。

●再建人を引き受けた理由

 では、なぜ澤田氏がハウステンボスの経営を引き受けたのだろうか?

「理由は3つあります。ひとつ目は、朝長市長からの要請が熱心だったこと。2つ目はハウステンボスが閉鎖されれば、地元の観光業にとってマイナスであり、従業員と取引先を含め、約3000人の雇用に影響が出ること。社会貢献をしてみたいと思った。そして3つ目は、これが一番大きな理由かもしれませんが、高い山があると登りたくなるという血が騒いだこと。ぜひチャレンジしてみたいと」

 澤田氏は就任直後、約1000人の従業員を前に、自分の考えを話す機会を設けた。しかし、10年間ボーナスが支給されない状態が続くなどして、従業員の士気はすっかり低下していた。澤田氏に対しても懐疑的だったという。

「社長が替わるのは何回目だろうか? 誰が社長をやってもうまくいかないだろうという気持ちが透けて見えた」。澤田氏はそう振り返る。そこで「戦略や戦術など難しい話ではなく、わかりやすい話をした」(澤田氏)。それは以下の内容である。

「まず、ハウステンボスはなんのために運営しているのか? お客さんに喜んで、楽しんでもらい、感動してもらうことだ。それを提供する皆さんの仕事は意義があり、すばらしいものだ。地域の観光の活性化と雇用の創出にも貢献する仕事だ」

 社員の前でこのような話をしても、「3分の1の従業員は、わかったような、わかっていないような顔をしていました(笑)」(同)という。