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成功する条件をすべて欠いたテーマパークを、わずか1年で黒字化した舞台裏

HIS澤田会長が激白!ハウステンボス再建の秘訣は“運”

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 次に、夢や目標がないと人は走れないので、1年後にハウステンボスを「観光ビジネス都市」にし、黒字化してボーナスを支給しようと話したが、まだ、「本当に黒字になるの? とボーッとした反応だった」(同)とのことだ。

●黒字化のためのポイント

 そして、これを実行すれば黒字化するというポイントを3つ示した。

 第1に、数十社の会社を経営してきた澤田氏の経験から、発展する会社は共通して社内が清潔で整理整頓が行き届いていることを説明したうえで、役員と全従業員が始業前の10~15分に清掃を行う。澤田氏も清掃に参加する。

 第2に、失敗したとき、うまくいかないときこそ明るく元気に振る舞うことが最も大切なので「ウソでもいいから、明るく元気に振る舞おう」と呼びかけた。「従業員の半分はうなずいていましたが、半分は『そんなことを言われても』という表情でした」(同)

 第3に、経費を2割削減し、売り上げを2割増やせば、たいていの会社は黒字化するので、これを実行する。経費削減が難しければ、園内を移動するときは1.2倍の速度で歩く。そうすれば、生産性が2割アップしたことになる。売上増加策に据えたのはイベントで、澤田氏は「ディズニーランドにはできないイベントをやろう。日本一、東洋一、世界一のイベントをやろう」と呼びかけたのだった。

 こうした基本方針の実践、さらに数々のイベントや「ナアナアだった飲食店などテナントの契約条件を変更して、売り上げが振るわなければ撤退してもらう仕組みに変えた」(ハウステンボス中堅社員)などさまざまな施策で、わずか1年で劇的に業績が改善したのだ。

 この中堅社員は、澤田氏の働き方に驚いたと話す。

「澤田は頻繁に園内を自転車で巡回して、改善すべきことを次々に指示してきます。これまで何度も社長が替わりましたが、ここまで現場を回る社長はいませんでした」

 澤田氏が自転車で巡回するシーンはテレビなどで紹介されてきたが、メディア向けのポーズではなく日常的な光景だという。

●人生の99%は運?

 こうして、成功者としての地位をますます向上させた澤田氏は、ことのほか運を重視している。講演では「人生の99%は運で決まると言っても過言ではありません。運を大切にしていきたい」と断言した。

 『運をつかむ技術』にはこう書いている。

「天が運んでくる運(天運)と同時に自分で運ぶ運が存在していて、そちらのほうが影響が大きいという事実を認識することが大切ではないかと思う。言い換えれば、運はコントロール可能だということだ」

 では、どうやってコントロールするのだろうか?

「成長している会社、良い会社と付き合うこと。そうすれば取引も増えるでしょうし、こちらの会社も良くなっていきます。人間なら運の良い人、明るい人と付き合うことです。一方で、自分は運が良いと思って常にプラス発想をすること。そして人徳を積むことです」(澤田氏)

 同著によると、澤田氏は陰陽の考えにもとづいて、業績の良いときにスピードの調整を目的に、倒産を経験した元経営者など、元気のない人たちをあえて自分の周りに配置したことがある。この人事は、運の実験を伴っていた。すると澤田氏の運は落ちていき、挙げ句の果てにライブドア事件に巻き込まれてしまったのだ。

 この事件ではエイチ・エス証券の副社長が自殺し、同社は東京地検特捜部と証券取引等監視委員会の捜索を受けた。澤田氏も当局から事情聴取を受けた。この教訓から澤田氏は「いくら自分の幸運に自信があっても、助けられる人はせいぜい1人だ。それもできれば、他の運がいい人を巻き込んだ上で、チームで改善していくことが望ましい」(同書)と総括している。

BusinessJournal編集部

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