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現金あらへん吉本興業経営危機説、上場廃止で墓穴掘った?

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反社会的勢力との関係があると、銀行融資に
支障が出る。紳介クビの一番の要因との声も。
限りなくMBOに近いTOB

 ネット上や一部週刊誌などで、「吉本興業経営危機説」が取り沙汰されているが、同社はもともと、そんな危ない会社どころか、実質無借金経営を続ける、豊富な余剰資金(現預金残高)を持った「財務の優等生」だった。

 上場企業としての最後の本決算である、2009年3月期連結決算の貸借対照表(バランスシート)を見ると、約30億円の有利子負債を、約124億円もある現預金残高で完全にカバーできる「実質無借金」状態。総資産は約617億円、純資産は約450億円で、安全性を示す自己資本比率は72.9%もあった。

 ところが、「週刊現代」(講談社)が入手し4月に掲載した、同社の11年度上期の中間決算データ(非公開の貸借対照表)によると、現預金残高は約50億円に減り、返済すべき負債額は約150億円(返済計画表による)と、現預金残高の約3倍にまで上っている。総資産約458億円に対する純資産は約156億円で、自己資本比率は34.0%に低下していた。

 財務の優等生は、3年足らずで劣等生に一変していたのである。

 その間、10年2月24日に同社は株式上場を廃止している。手法は表面上、「クオンタム・エンターテイメントという会社のTOB(株式の公開買い付け)による買収」というかたちをとっていたが、この会社は10年10月に旧吉本興業を吸収合併した上で、改めて新たな「吉本興業」が設立された。

 TOBでは、時価にプレミアをつけて株を買い取るので買収資金がかさむ。"新生"吉本興業は、旧社がTOBのために銀行から借りた金の債務を受け継ぎ、旧経営陣もほとんどそのまま移行している。つまり、ワンクッションはさみながら、実質的には限りなくMBO(マネジメント・バイアウト/経営陣による企業買収)に近いTOBだったのだ。

買収資金のための負債が経営圧迫

 その結果として、負債がふくらみ財務をかなり劣化させてしまったのである。営業が好調ならある程度はカバーできたかもしれないが、前出の「週刊現代」によれば11年3月期は約39億円の赤字に陥り、12年度中間決算も約15億円の赤字で、連続赤字は確実な情勢だというから、「危機説」が浮上するのも無理はない。

 危機の行方はともかく、「MBOによる上場廃止」は大きなリスクを伴うことを、吉本興業のケースは改めて教えてくれた。

MBOによって経営陣が「独裁者」と化す

 自社の株式を証券取引所に上場するのは、企業の資本強化策の一選択肢にすぎない。

 ところが日本では、株式上場を「一流企業を証明するブランド」、その社員を「一流のビジネスパーソン」とみなす風潮がごく最近まであった。バブルの頃、新聞は「大学新卒者の3人に1人は上場企業に就職できる売り手市場」と書き、上場企業の役員限定の会員制ゴルフ場まで登場した。強引な取り立て手法を非難された商工ローン会社社長が、テレビで「我が社は一部上場企業(だから信用がある)」と開き直って失笑を買ったこともあった。

『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』


吉本社員の嘆き。だって本当に皆さんしんどそうだも…

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