赤ちゃんが泣かない…Combi「おしりふき」あたため器、26年間人気の秘密

●この記事のポイント
・いつもギャン泣きしていた赤ちゃんに、Combi製おしりふきあたため器「クイックウォーマー」で温めたおしりふきシートを使ったところ、泣かなくなったという評判が広がっている
・販売開始から今年で26年となるロングセラー商品
・1回のおむつ替えで使う分だけを素早く温める設計にすることで、使い勝手の良さを追求
おむつ替えのときに、いつもギャン泣きしていた赤ちゃんに、Combi製おしりふきあたため器「クイックウォーマー」で温めたおしりふきシートを使ったところ、泣かなくなったという評判が広がっている。新生児の頃のおむつ替えは1日に10回以上と頻度が多く、子どもがすぐに泣き始めてしまうことに苦労する親は多いが、SNS上では同商品をめぐって「革命が起きました」「すごく助かってる」「出産祝いによく贈ってる」といった声があがっている。実はこの「クイックウォーマー」、最近発売された新商品というわけではなく、なんと販売開始から今年で26年となるロングセラー商品だという。四半世紀以上も前に登場して、いまなお子育て世代から熱い支持を受ける理由は何なのか。今回はコンビ株式会社の開発担当・池田新さんに商品へのこだわりについて伺った。
クイックウォーマーは親たちの生の声から生まれた
まずはクイックウォーマーという商品が誕生した経緯から聞いてみよう。
「開発当時の90年代後半頃はすでに、赤ちゃんのおむつ替えの際にウェットティッシュ状のおしりふきシートを使用する親御さんが多かったんです。しかし、当時の開発担当のリサーチによると、水分を含んだおしりふきシートを肌に当てると冷たく感じ、びっくりして泣いてしまう赤ちゃんが多いということが判明しました。
そういった声から“おしりふきシートを温める”というアイデアが生まれ、赤ちゃんが気持ちよくおむつ替えでき、親御さんの精神的・肉体的な負担も減らしたいという思いからクイックウォーマーが誕生したんです」(開発担当・池田さん)
ではクイックウォーマーにはユーザーからどういった反応が寄せられているのだろうか。
「2019年に当社が行ったアンケートによると、8割以上の方が『温めたおしりふきシートのほうが、汚れが落ちやすいと感じる』というご感想をいただき、ご好評をいただいております。
また近年では、おしりふきシートとしての使い方のみならず、さまざまな用途で使ってくださる方もいますね。おしりふきシートのなかには、手足などの全身を拭けるようなものが多く、例えばお子様のお食事前のお手拭きとして使ったり、食べこぼしを拭いたり、冬場のみならず年中ご使用いただいています」(開発担当・池田さん)
クイックウォーマーの細部に至るまでのこだわり
発売から26年が経つクイックウォーマーだが、長年多くの支持を集める商品にはどんなこだわりが詰まっているのかも気になるところだ。
「商品開発の際には、安全面を最優先に考慮しています。小さなお子様がいる家庭では、思わぬ形で事故につながってしまうことがあるので、あらゆるケースを想定しながら品質保証部と協力し、安全性の担保を行なっています。
クイックウォーマーに関しては、開閉するフタ部分にスキマを作らないような構造になっていて、お子様の小さい手が開閉部分に挟まれないような工夫を施しています。さらに、クイックウォーマーの温める温度は約45℃となっていますが、これも火傷しない程度に、人が心地よいと感じる温度として設定しています」(開発担当・池田さん)
続いて機能性におけるこだわりについて聞いてみた。
「クイックウォーマーではトップウォーマーシステムというものを導入しており、おしりふきシートの上部だけを素早く温めることができます。おしりふきシート全体を温めると、どうしても時間がかかってしまいますが、1回のおむつ替えで使う分だけを素早く温める設計にすることで、使い勝手の良さを追求しているんです。
また、おしりふきシートを下から自動で押し上げてヒーター部分と密着する構造になっているので、シートを使い続けて減っていったとしても、取り出し口から引っ張り出しづらくならないような工夫もしています」(開発担当・池田さん)
さらには各家庭のインテリアに溶け込むように配慮し、スタイリッシュなデザインにもこだわっているのだとか。
「おむつ替えの頻度が高いことや、食事の際など幅広い用途でお使いいただいていることから、リビングに置いておくユーザーの方が多いので、ほかの家具とも調和しやすいようなベージュやカーキといったスタイリッシュな色合いのデザインにしています。また、取っ手部分がありますので、片手でも簡単に持ち運べるよう、利便性にも配慮したモデルもあります」(開発担当・池田さん)
時代のニーズに合わせて変化していくCombiの商品
Combiは時代のニーズに合わせて商品開発や改良に取り組んでいるという。
「最近では、男性の育児参加も増えてきていますので、お父様の手のサイズに合ったものかどうかなど、商品の開発や改良を行なう際のリサーチ範囲をどんどん広げています。ユーザーの方々からの声だけでなく、専門家や医師の方々からアドバイスをもらったり、販売店の方々など、幅広いご意見を参考にさせていただきながら、時代のニーズに合わせた商品を生み出していきたいと考えております」(開発担当・池田さん)
最後に今回話題となったクイックウォーマー以外の注目商品を教えてもらった。
「実はここ何十年も解決されていなかった育児の悩みのひとつが、赤ちゃんの爪のケアなんです。赤ちゃんの小さくて薄い爪をハサミなどで切っている親御さんが多いのですが、『ケガをさせそうで怖い』というご意見を多くいただいていました。
そんな声から生まれた『にぎってピタッ!安心つめきりハサミセット』は、赤ちゃんの爪切り用ハサミと、赤ちゃんの指を固定するグリップがセットになった商品になります。こちらは、赤ちゃんの手の平に大人の指などを入れるとギュっと握る“把握反射”を利用して、指を固定するグリップを握らせることで、赤ちゃんの指の間を広げ、一本一本の指の爪を安全に切ることができる商品になっています」(開発担当・池田さん)
――子育て世代から長年愛される続ける商品を開発・販売するCombiには、時代に合わせて常に変化していく姿勢があった。親の声に寄り添った商品の数々は、多くの子育ての悩みに、真正面から向き合ってきた企業努力の賜物とも言えるだろう。
(取材・文=瑠璃光丸凪/A4studio)