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ライブドア・ショック再来のリスクも…新規株式公開規制緩和への懸念と期待

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ライブドア・ショック再来のリスクも…新規株式公開規制緩和への懸念と期待の画像1安倍相場について報じる
2月19日付朝日新聞より
 今年もIPO(株式の新規公開)がスタートした。第1号案件のメドレックスが公開価格に比べて大幅高で寄り付き、その後の順調な足取りを見せている。メドレックスは貼る医薬品製剤の開発などを行っているベンチャー。これまで飲む薬では効く時間が限定されていたものを、シップのように貼ることでじっくりと効くようにするなどの技術に定評がある。その後に上場したエステ用品通販のビューティーガレージ、中古品リサイクルの買取王国なども順調な推移となっている。

 今年は上場した企業も含めて、すでに12社がスケジュールにあがっている(2月15日現在)。昨年は1年間で46社(プロ向け市場を除く)だったので、出足はきわめて順調といえる。2011年は37社だが、リーマン・ショックの影響を受けた09年は19社にとどまっていた。

 新しい企業に資金を供給する役割を担うIPOの社数はここ数年着実に増加しているものの、00年には203 社、06年にも188社が新規上場している。当時から比べれば依然として低水準で、東証1部市場の時価総額回復とともに、IPOが増えることが期待されている。なお、今年は年間で60~70社の新規上場があるのではないかと見られている。

 政府では成長企業のIPOを促進するため、市場の規制緩和を検討し始めた模様だ。上場前の増資をしやすくしたり、IPOに必要な株主の数を引き下げるなどの案が挙がっているようだ。現状ではIPO前の1年以内に割当増資に応じた投資家は、上場後半年間は原則として保有株式を売却できない。これをロックアップというが、この期間を短縮すれば増資に応じる投資家が増える公算がある。

 株主数は最低300名以上が必要だが、企業側からはハードルが高いとの指摘があるようだ。規制改革会議で議論し、決まった場合は取引所に実施を求めていくことになる見通しとなっている。

●規制緩和で過去には問題も

 規制緩和は市場の活性化にとって前進かもしれないが、過去には問題点も生じているのは注意したいところだ。

 現在の新興市場マーケットである東証マザーズは、1999年に創設された。本則市場(東証1部、2部)に比べてIPOのハードルが低いことを背景に、IT(情報技術)関連企業が多く上場した。しかし、審査がゆるくなった分、反社会勢力が経営陣や株主に入り込んでいることが問題視された企業が、少なくなかったのである。

 また、マザーズ以外にも名古屋証券取引所のセントレックス、札幌証券取引所のアンビシャス、福岡証券取引所のQボードなど新興企業向け市場が乱立。有望企業の誘致合戦が激化し、上場する資格が疑われる企業までが上場することがあった。投資家がリスクを知らされないまま、その後淘汰される企業も相次いだ。地方取引所の新興企業向け市場は、現在はIPOに関しては開店休業状態のところもある。

 一方、東京証券取引所(東証)と大阪証券取引所(大証)が統合して日本取引所グループ(JPX)が誕生するなど、市場が収れんに向かいつつある。新興市場では日本証券業協会から分かれたジャスダック証券取引所と、大証の新興市場ヘラクレスが10年に統合し、現在の大証ジャスダックとなっている。東証マザーズと大証ジャスダックは当面は並行して存立するが、JPX誕生後は、数年後にはひとつにまとまる方向で進んでいる。

●市場低迷につながる危険性も

 株式市場の活性化には、過度な規制は禁物。規制は投資家の参入を拒み、成長資金の流入を妨げるためだ。しかし、ハードルを下げすぎることで、投資家に十分な情報が届かない中でIPOに進む企業が増加しないか。十分なチェックが必要だ。これまでも、粉飾決算などで上場廃止となる新興企業が出ると、市場全体の信任が揺らぎ、低迷が長期化することがあった。

 06年1月の、IT企業ライブドアの財務内容などをめぐるいわゆる「ライブドア・ショック」後は、企業のみならず監査法人の監査や取引所のIPO審査のあり方も社会問題化した。ライブドア事件は特殊なケースかもしれないが、07年以降にIPOが減少したのは、リーマン・ショックの影響ばかりではないのである。

BusinessJournal編集部

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