マネジャーは、自分を抑えなければいけない場合があります。タレントに対して、時にはお父さん・お母さんのようにならなければいけないし、時には先生のように叱らなければならない。いろいろな状況に応じて、適切な振る舞いを求められます。タレントによっては、今は機嫌がよくても、次の日には機嫌が悪くなって、「どうしてこういうことをしなければいけないの?」と言うタレントもいますからね。その時に、きちんとその理由が説明でき、本人に納得してもらえるような会話ができなければダメですね。上から目線で言ったら、人は動きません。きちんと説明できて、自分もお手本にならないといけない。
ーーそうした適性を、採用面接などを通じて見抜くわけですね。
鈴木 ええ。営業をして仕事を取るという意味では、マネジャーもある程度はスター性が必要ですけれども、タレントと一緒にいる時には、一歩、二歩下がって、タレントを引き立たせるということも必要です。つまり、ガツガツとした積極性と、すっと一歩引く謙虚さの両方を使い分けられる臨機応変さが必要ですので、それがあるかを見ています。
また、オスカーにはオスカーの仕事のやり方というものがあるので、経験者だからよいというわけでもありません。逆に新卒者のほうが、教えたことをスポンジのように素直に吸収するので、よい場合もあります。
●タレントに恋愛禁止ルールは必要?
ーー今、AKB48などで話題になっているタレントの恋愛禁止ですが、貴社にも同じような規則はありますか?
鈴木 当社のほうが前から導入しています。恋愛禁止ルールは、もちろん必要です。芸能界というのは3~5万人で構成され、100万人の予備軍がいるといわれています。その中で全員がトップを目指して、過酷ないす取りゲームをしているわけです。そういう世界で有名になりたいという夢を持って飛び込んで、やっとチャンスをつかんでデビューすることができた。「これからは、ファン、業界関係者、事務所スタッフなど、みんなの応援があれば、夢がかなう」というステージまで来たわけです。だから、周囲もみんな一生懸命応援するわけですよ。
その時に、当人が恋愛していることがわかったら、周囲はどう思いますか? テレビ局のプロデューサーだって、我々マネジャーだって、なによりファンもみな人間ですから、応援しようというモチベーションは下がりますよね。ですので、「何歳までは恋愛禁止。それが約束できるならデビューさせる」ということを、きちんと話をします。
もちろん、ある程度世間や現場関係者からも認められるような女優になれば、恋愛はするべきだと思います。
ーー具体的には、何歳まで恋愛禁止なのでしょうか?
鈴木 美少女コンテストを開催する以前は、デビューしてから最低5年は恋愛禁止でした。ですが、美少女コンテストで最終選考に残るメンバーが13~14歳で、当初は1年後にデビューというケースもありましたから、仮に14歳でデビューしたら20歳の時には恋愛してもいいということになります。そこで、「20歳過ぎてからデビューした場合はデビュー後5年でいいけれど、10代でデビューした場合は、20歳過ぎてから5年、つまり25歳までは恋愛禁止」というように変更しました。
ーーあまたある芸能プロダクションの中でも、御社の存在感が際立っていますが、その秘訣はなんでしょうか?