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完全な穴馬?東芝サプライズ社長人事の裏 西田会長と佐々木社長の確執、消去法で選出…

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「東芝 HP」より
 2月26日、東芝が佐々木則夫(63)社長の後任に、田中久雄(62)副社長を昇格させる人事を発表した。6月下旬に開催する取締役会を経て就任する。佐々木氏は新設の副会長に就き、西田厚聡(69)会長は退任が濃厚と見られていたが留任。「完全な穴馬」と評される田中氏の昇格と、異例の3トップ体制の背景には何があるのか?

 そこには犬猿の仲といわれる西田、佐々木氏の関係と「財界総理」の座への東芝の執念が透けて見えてくる。

 東芝の社長任期は4年が慣例。慣例通りならば、今年は社長交代のタイミングだ。ただ、昨年の段階では、「めぼしい後継者もいないので、佐々木さんの続投もありえる」との観測が市場では広がっていた。

 こうした中、2月10日の経団連人事の発表により、佐々木氏退任が決定的となった。6月の総会後の経団連副会長職に、佐々木氏が選ばれたのだ。佐々木氏は、すでに経済財政諮問会議の民間議員に選ばれており、経団連人事も重なり、社外活動が多忙になるため、社長職を退くのが確実視されるに至った。

 絶対的本命不在の次期社長レースではあったが、東芝担当記者によると「本命はインフラ担当の北村秀夫(60)副社長、対抗は半導体部門のエースで社外の評判も高い小林清志(57)専務、穴馬がデジタルプロダクツの下光秀二郎(60)副社長」だった。

 佐々木氏続投説も流れたように、それぞれ死角を抱えていた。北村氏は佐々木氏と同じインフラ畑。同一部門から社長が続くことは、東芝では過去ほぼ皆無。加えて、主力の原発事業の先行きも不透明で「現時点では社長に選びにくい」(同社関係者)との指摘もあった。

●実績よりコミュニケーションを重視か

 実績では、東芝の利益の屋台骨であるNAND型フラッシュメモリーを育てた小林氏が筆頭。半導体嫌いの佐々木社長だが、小林氏は半導体畑では佐々木氏と会話ができる数少ない人物とも言われる。ただ、社内の評判を聞くと、「『クレイジーキヨシ』と呼ばれるほどの切れ者で、切れすぎるがゆえに、社内に敵も多い」(同)。年齢から、社長候補に挙がるとしても次のタイミングではとの指摘もあった。

 また、下光氏は「インフラ畑と半導体畑を意識的に外した場合の、安全パイの存在に過ぎない」(同)。蓋を開けてみれば、田中氏が抜擢されたわけだが、東芝社員の多くは「実績よりコミュニケーションのうまさを重視したのだろう」と見る。

 今回社長に選ばれた田中氏は調達畑出身。西田会長の右腕として、パソコンの調達改革に伴うコスト低減で名を上げたが、華々しい実績はない。また、事業部門トップの経験もない。調達出身としては初めての役員に就いたが、社長にのぼりつめるとは、本人も含めてまさにサプライズだろう。

●西田会長と佐々木社長の確執

 田中氏が抜擢された背景のひとつは、西田、佐々木間の関係の悪化だ。

「西田さんが社長時代は、佐々木さんと悪い仲ではなかった。だが、会長に退いても出たがりの西田さんに佐々木さんは辟易して、意見の相違も目立ってきた。会見でも、佐々木さんへの質問になぜか西田さんが答えて、佐々木さんはあからさまに嫌な顔をしていた」(東芝担当記者)

 実際、記者会見で西田氏は田中氏を推した理由を「調達を通して、さまざま事業を見てきた。ひとつの事業しか見ていなかったら、社長は務まらない」「新興国での海外経験がある」と述べたが、これは佐々木社長への当てつけと見られている。同記者によれば、「佐々木さんは原発畑一筋。新興国とも無縁。佐々木さんは会見後に『リーマンショック後に会社を立て直した実績もあるし、あんなこと言われる筋合いはない』と怒ってた」という。

 佐々木社長の本音は、同じインフラ畑だった北村氏を昇格させたかったとも言われる。ただ、西田会長は「良く言えば親分肌、悪く言えば適当」な北村氏を評価していなかったという。