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SB、オリックス…太陽光発電で加熱する用地取得競争の舞台裏と、普及拒む障壁とは?

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SB、オリックス…太陽光発電で加熱する用地取得競争の舞台裏と、普及拒む障壁とは?の画像1「Thinkstock」より
 昨年7月1日の再生可能エネルギー買い取り制度導入以来、太陽光発電のブームが続いている。人気の太陽光パネルだとすぐには入手困難で、入荷待ちというものもあるほどだ。全量買い取りの対象は発電出力10kW以上の産業用で、10kW以下の主に家庭用は、従来の余剰買い取り制度の対象だ。

 政府が12年度(昨年7月~今年3月)に見込んでいた再生可能エネルギーによる出力合計250万kWの50%は、開始2カ月間で超えてしまった。同年度の年間出力量は200万kW、累計では700万kWに達した。

●太陽電池価格の低下も拡大要因

 業務用の大規模発電(メガソーラー)には、ソフトバンク、国際航業(日本アジアグループ)、オリックスなど、これまでエネルギー産業とは直接関係がなかった企業が続々と参入してきた。また、自社の遊休地や工場の空き地を利用する形でメガソーラー事業に参入した企業も多い。例えば、建設資材の製造販売などを手がける高見沢は、上田市の工場敷地内に出力1000kW級のメガソーラーを建設する。「イナバ物置」で知られる稲葉製作所は、富岡工場予定地内の約3haに最大出力2000kWのメガソーラーを設置し、電力販売事業に参入すると発表した。

 メガソーラー事業には、どのくらいの設備投資が必要なのか。昨年4月に創刊した太陽光発電関連の情報誌「ソーラージャーナル」(アクセスインターナショナル)の清水朋宏編集長はこう話す。

「日射量などの条件によって大きく異なりますが、1MW(メガワット=1000kW)のソーラーファームには、少なくとも1ha以上の敷地面積が必要です。そこに太陽光パネルを敷く設備投資は3~4億円程度。年間5000万円程度の収入を見込んで、7~8年で償却できる計算です」

 また、東京電力の資料を見ると、7MWで11ha、13MWで23haほど必要なようなので、1MWの発電には1.5ha以上が必要ということになる。いずれにしても、まとまった面積の土地が必要であることはまちがいない。

「太陽光発電は高コスト」と思い込んでいる人は少なくないが、太陽光パネルなどの導入コストは急速に下がっている。2年前は住宅用の太陽光パネルが1kW当たり60万円で、平均的な家庭の屋根で200万円前後だったが、現在は最安値だと1kW当たり30万円以下である。そして、コスト低下は住宅用以上にメガソーラーのほうが激しい。メガソーラーの場合、コンクリートブロックによる架台作りの基礎工事にコストがかかっていたのだが、最近はこの部分で改善されてきたからだ。

●ハードル高い農地のメガファーム転用

 自社の遊休地活用以外でメガソーラー事業を展開し、太陽光発電をさらに普及させるには用地確保というハードルがある。土地がフラットでアクセスも良く、日当たりと使い勝手の良い土地を、日本中の業者が血眼になって探している。ソフトバンクグループで自然エネルギー事業を行うSBエナジーも例外ではない。同社はWebサイトで事業用地を募集しているが、取締役副社長の藤井宏明氏によれば、2011年10月の会社発足以来1年で、土地提供の相談案件は約1000件あったという。

「地盤がゆるかったり、電線が通ってなかったり、山間で日照時間が少なかったり、適合しないところが多いですね。農地の相談も多いのですが、小さくて点在しているところはなかなか使えません」(藤井氏)

 農林水産省は国内にある耕作放棄地40万haのうち、半分の20万haは農地に戻したいという意向だが、裏を返せば残り半分の20万haは再生可能エネルギーの事業用として使えるということだ。また、その一方で、実態は「耕作放棄地」でも、耕作放棄地として認識されていない土地もたくさんある。

「現在は農業を営んでいるものの、後継者がいないため、数年後の生活の糧にするために、今のうちにソーラーファームに変えたいという申し出がご高齢の方からありました。でも、その土地はすぐには耕作放棄地扱いになりません。その方は『農業をやめてから何年もたたないと耕作放棄地にならないなんて、その頃、私たちはどうなっているのか』とおっしゃっていました」

BusinessJournal編集部

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