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オトコたちのウットリワールド”をぶった斬り!「男性誌」のあぜ道 第2回

男性誌「GOETHE」が醸し出すワーキングマッチョ臭…オトコのおしゃれは頭の良さで決まる!?

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どんなテクも結局モテに回収。
(「GOETHE HP」より)

 新年度に入りまして、真新しいスーツに身を包んだ新入社員とおぼしきみなさまを電車の中や街中で見かける季節となりました。フェイスブックで意識の高い発言を連発する新人さんがいたりする一方で、ツイッターでは早くも「会社イヤ」みたいなつぶやきが散見されたりして、トウの立ったアラフォーオヤジとしては実に微笑ましい限りでございます。

 さてさて、5月号の男性誌界隈を見回しまして、いちばんムズムズきた特集がこちら。

『GOETHE 5月号』(幻冬舎)
社会的にも断然モテる
『頭のいいお洒落』

 ゲーテは「24時間仕事バカ!」を惹句として頻用してきた雑誌だけあって、とにかく“仕事のデキるオトコはカッコいい”てな志向が強烈なまでに通底しているのですね。クールでスマートでスタイリッシュな男性誌的うっとり感をガッツリと踏まえつつ、「ツベコベ言わずに働けオラ!」みたいなワーキングマッチョ臭というか、「ビバ! ワーカホリック」というようなマインドが滲み出てくるワケです。このあたり、幻冬舎社長である見城徹氏の世界観が現れているのかもしれません。

 そんなゲーテですから、ただ“モテる”みたいな斬り方はしません。「社会的にも」モテなきゃ、働くオトコとしては一流じゃない、と。で、表紙に持ってきたのがiPS細胞の研究で昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した、京都大学教授・山中伸弥氏のモノクロ写真ですよ。そう来るか……と唸らされるような、なんともゲーテらしい一捻り。

 特集の巻頭リードでも、山中教授を引き合いに出します。

「身体にフィットしたスーツ、アイロンをしっかりかけた皺ひとつないシャツ、そして緩みのないネクタイ。お洒落という言葉が、どうも軽く思えてならない昨今だからこそ、教授の凜としたスタイルは、わたしたちにお洒落の真の意味を問いかけているようです」

 ほう、そうした捉え方が「頭のいいお洒落」という志向の端緒であるということなのでしょうか。返す刀で、作家の宮本輝氏がコラムでこう謳うのです。

「身だしなみの品が、すなわち頭の良し悪しを如実に映し出す」

 いや、おっしゃっていることはわかります。社会人のたしなみとして、TPOをわきまえ、相手に失礼のない服装を心がけるのは大切でしょうし。ただなぁ……どこかムズムズするんですよねぇ。


●要は「バカだと思われない」ためのお洒落ってこと?

 昨今のソーシャル界隈を眺めていて常々感じていることなのですが、たとえばフェイスブックで自分をどう見せるか(もっと言うなら、いかにして自分を盛るか)といった営み……いわゆるセルフブランディング志向が強まっていくなか、“バカだと思われたくない”といった危機感も醸成され、肥大化しているのではなかろうかと。自分のことはいつも賢く見せていたい。そして、相手がちょっとピントのズレたことを言ったと思えば、揚げ足を取るようにしてすかさずバカにする。そんな営みがツイッターでも日夜繰り広げられているワケでして。いやはや、実に面倒くさくて、窮屈なマインドですね。

 頭のいいお洒落とは、翻って“頭の悪くない、バカだと思われないお洒落”ということなのでしょう。バカだと思われたくない御仁にとっては、この特集の斬り口が強烈なアジテーションとして響いてくるだろうことも想像に難くありません。

 個別の企画に目を向けてみますと。最初は『頭のいいスーツの男』というグラビアが展開されます。スーツ姿でキメているのは山中教授のほか、元ソニー会長の出井伸之氏、北海道日本ハムファイターズ監督の栗山英樹氏、オテル・ドゥ・ミクニのオーナーシェフ三國清三氏、宇宙飛行士で日本科学未来館館長の毛利衛氏という面々。『賢い男、賢いスーツを語る』というコーナーでは、彼らのコメントや服装のインプレッションが綴られるのです。

 その後も『仕事を彩る 頭のいいアイテムたち』というスーツや靴、時計などを紹介するコーナー、吉田茂やマーク・トウェインといった偉人たちの言葉を集めた『頭のいいスタイルを作る金言集』などが続きます。また、女優の鈴木保奈美氏や夏木マリ氏、バイオリニストの奥村愛氏が「“頭のいい”スタイルの男」について語る、『WOMEN TALKING about CLEVER MEN'S STYLE やっぱり男のスタイルは頭がよくないと!』てなインタビューコーナーも絶妙なムズムズ感で、実に興味深い。