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軽自動車好調の陰で、部品メーカー収益悪化のワケ 安値受注、追いつかぬ原価低減…

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「本田技研工業 HP」より
 軽自動車の売れ行きが好調な陰で、部品メーカーが収益悪化に悩み始めた。特に影響が深刻なのはホンダ系部品メーカーだ。ホンダは3年前、長らく“放置”してきた軽自動車事業の再強化を宣言。実際、その後に発売された「エヌボックス」「ライフ」などの販売は絶好調だ。しかし、軽自動車用の部品は単価が安いうえ、日本独自の規格とあって海外展開もしにくい。とはいえ、先細る国内生産を維持するため受注せざるを得ず、部品メーカーは“豊作貧乏”に危機感を募らせている。

 軽自動車が売れている背景には、税金が安いこと、高齢化、若者のクルマ離れといった複数の要因があると考えられる。ホンダは「今後も軽市場が伸びる」と見て軽事業強化に舵を切った。「フィット」などの登録車(排気量660cc超)を生産してきた鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)を軽の専用工場と位置付け、軽市場で大攻勢をかけている。

 戦略転換の成果はすでに実績に表れており、2012年度の軽自動車販売台数は前年度に比べ2倍の36万2344台、軽自動車市場に占めるシェアは前年度の1.8倍の18.4%に跳ね上がった。今後も車種を増やし、「ビート」のようなスポーツカーも出す予定だ。

 しかし、ホンダ系部品メーカーの幹部は一様に浮かぬ顔だ。登録車に比べると車両の平均単価を低く抑えねばならず、製造原価をできるだけ安くしなければならないからだ。車の部品の7〜8割は部品メーカーが製造しており、軽シフトによる収益性悪化のしわ寄せの大半を部品メーカーが被る構造になっている。

 軽の部品は「フィット」などのコンパクト車に比べると単価が4割安いともいわれるうえ、車体が小さいため部品点数も少ない。ホンダがあまりにも急激に軽自動車シフトを進めたため、部品メーカーの原価低減策が追いつかなかったというわけだ。

 しかも、軽は日本独自の規格。他国で生産するスモールカーに使えない部品も多く、生産性向上の余地はますます狭まる。

 軽自動車の快走は当分続きそうだ。今年は日産自動車が三菱自動車と共同開発した軽自動車の第1弾が発売される予定で、競争激化による原価低減要請も厳しくなることが予想される。とはいえ、完成車生産の海外シフトで国内生産台数が先細りするなか「国内の雇用を維持するためにも、軽部品だからといって失注や転注は避けたい」(部品メーカー首脳)ことも確か。少しでも受注をためらえば、中国や韓国勢のほか、スズキ系やダイハツ系など、軽自動車部品に強みを持つライバルに受注をさらわれかねない。

 快走する軽自動車の陰で、部品メーカーのサバイバルレースも本格化している。
(文=編集部)