NEW
100万の時計がバンバン売れてた?

ヴィトンら海外ブランド大幅値上げは横暴?円安が理由はオカシイ!百貨店も驚き

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

まるでお城な、パリのヴィトン本店。
(「Wikipedia」より)

 ルイ・ヴィトン・ジャパンは2月15日に、バッグなど一部商品を平均で12%という過去最大の値上げに踏み切った。高級宝飾品のティファニーは4月10日から、ハリー・ウィンストンも4月22日から一部商品を値上げした。

 円安が勢いを増している。2012年後半に1ドル=80円台だった円相場は、景気浮揚を狙うアベノミクス効果で、年明けには一気に90円台半ばまでに下落。日本銀行の黒田東彦・新総裁による「異次元の金融緩和」で4月に入って90円台後半まで円安が進み、5月10日には09年4月以来の1ドル=100円台に突入した。

 海外ブランドの高額品の販売価格は、円安の影響を受けやすい。輸入コストの上昇に直面する。そこで宝飾品や時計など、海外の高級ブランドの多くは、4月から円安を理由に相次いで値上げした。

 2月に入って、大手百貨店の宝飾品や腕時計などの高額品の売り場に活気が戻ってきた。これは、はっきり言って、海外の高級ブランド品が値上げする前の駆け込み需要だった。

「超富裕層が500万円以上の高額品を買うよりも、年収700万円から1000万円の中間層が100万円前後の腕時計を買うケースが多い」。百貨店関係者はこう指摘する。この発言が駆け込み需要を裏付けている。14年4月には、消費税率が8%に引き上げられる予定だ。消費マインドの好転に背中を押され、増税を見越した駆け込み需要も増えてきた。

 当然、駆け込み需要には反動減がくる。海外の高級ブランドにとって、その時が正念場になる。超富裕層は値上げを気にはしないが、顧客の多数派を占める中間層は値上げされたら買うのをあきらめるかもしれない。高級ブランド各社にとって由々しき事態だ。というのも、彼らにとって日本は有力な市場だからだ。

 08年のリーマン・ショックの影響で、国内景気は低迷が続いた。高級ブランド品の売り上げも落ち込んだ。高級ブランド各社は、中国など急速に経済成長を遂げている新興国市場に視線を向けた。とはいっても<コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーによると、12年の日本での高級品の売上高は約200億ユーロ(約2.5兆円)で依然として米国に次ぐ世界2位の市場>(ブルームバーグ3月12日付)なのである。

 世界展開する高級ブランドメーカーは、為替変動リスクをどのように回避しているのだろうか。最も注目されているのは、値上げの先陣を切ったルイ・ヴィトン・ジャパンである。「若い女性の5人に1人がルイ・ヴィトンのバッグを持っている」との伝説があるほど、日本で最も有名な高級ブランドだ。フランスのコングロマリット(多国籍複合企業)であるLVMHモエ・へネシー・ルイ・ヴィトンS.A.の傘下にある。

 LVMHはファッション、化粧品・香水、ウォッチ・ジュエリーなど有名ブランドを、数多く持っている。ファッションではクリスチャン・ディオール、ロエベ、セリーヌ、ケンゾーもそうだ。11年にはイタリアの高級宝飾品ブランド・ブルガリをグループに組み入れ、話題をさらった。高級シャンペンの代名詞「ドンぺリ」のドン・ペリニヨンもグループに属する。

 ユーロ相場は昨年、欧州債務危機のあおりで大幅に下落したが、日本の追加金融緩和観測から円安・ユーロ高に振れた。ルイ・ヴィトンの日本での販売価格は、円とユーロの為替相場に連動している。円の支払いはLVMHの12年の売上高の8%を占めており、今回、為替水準に合わせて価格を改定した。

 円高・ユーロ安の局面で値下げした事例は極めて少ない。だが、ユーロ高が進むと、各メーカーとも連続して値上げする。

 ルイ・ヴィトン・ジャパンは01年から今年2月まで14回、価格を改定した。値下げは2回(累積値下げ率12%)で、値上げが12回(累積値上げ率68%)だ。値下げしたのは、円高に振れた04年に平均5%下げた時と、リーマン・ショック直後、ユーロ相場が大幅に下落した08年に平均7%値下げした時の2回のみ。あとは、為替変動に合わせて小幅な値上げを繰り返してきた。しかも、超円高の局面では一度も値下げをしていない。

 今回は、過去最大となる平均12%の値上げに踏み切った。一気に2ケタの値上げだ。「ルイ・ヴィトンは強気だ」と評判になった。「12%というのは、あまりにも大胆」と高級ブランド品を扱う百貨店の担当者を驚かせた。