NEW
ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第9回

介護大手ニチイ学館に訴訟、一方的なケアプラン変更&解約で要介護者を見放しか

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「Thinkstock」より
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『さんまのホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない、「あの企業の裏側」を暴く!

 前回記事『介護大手ニチイ学館、劣悪な労働環境にスタッフから苦情続出 悪質な賃金抑制も露呈』では、介護業界の最大手企業・ニチイ学館がブラック企業と言われるゆえんを探ったが、今回は、筆者が相談を受けた同社介護サービスにまつわるブラックな事件を紹介させていただこう。この事件はニチイ学館のみならず、あからさまに同社の肩を持つ裁判所の悪辣な実態を垣間見るにもうってつけのケー スだ。

 具体的な介護現場のお話になるので、事前に少々説明させていただく。医療サービスと介護サービス、いずれも公的な保険を使ってサービスを受けられるのだが、仕組みには違いがある。医療の場合、病気になれば病院に行って診察を受け、その場で健康保険を利用できる。しかし同じような公的保険によるサービスでも、介護は違うのだ。いきなり介護施設に行っただけでは、介護保険を利用した介護は受けられない。

 介護保険を利用したい人は、まず自治体に対し「要介護認定」を申請することから手続きが始まる。認定調査員が介護の必要な本人に面接し、実際に介護を要することを確認し、その報告書を基にした認定審査の結果、「要介護度」や「介護保険負担限度額」の認定が行われ、「介護保険被保険者証」が発行される。それを持って介護サービス事業者に申込をすれば、必要なメニューを相談、勘案の上で、介護支援専門員(ケアマネジャー)が介護プランを立ててくれる。それによってようやく、介護保険サービスが受けられることになるのだ。

 ちなみに混同されがちだが、「ケアマネジャー」は介護プランを立てるところまでが仕事で、実際にプランに基づいて介護サービスを提供するのは「介護士」(ヘルパー)や「看護師」である。

【「要介護度」と「介護保険負担限度額」】


 また、自宅で介護する場合はヘルパーさんに家まで来てもらう「訪問介護」という形式をとるが、訪問介護のメニューには「身体介護」と「生活援助」の2つがある。

「身体介護」とは直接身体に触れておこなう介護であり、食事、排泄、入浴のサポートをおこなったり、通院や外出時の移動介護(車椅子への移動、車椅子・歩行介助)などをおこなったりするものだ。

「生活援助」とは日常生活のサポートであり、掃除、洗濯、シーツ交換やベッドメイク、生活品の買物、調理と配膳、話し相手などをおこなうものである。
いずれも所要時間によってポイントが設定されており、それが支払額と連動する。身体介護のほうが、生活援助に比べて若干高い設定となっている。

●要介護者への突然のケアプラン変更、解約通知

 長くなってしまったが、ここまでの予備情報をご認識いただいた上で本題に入ろう。

 ニチイ学館は上記の説明でいうところの「介護サービス事業者」であり、ケアマネジャーを擁している。今回の事件は、「『要介護5』という重篤なユーザーがいるにもかかわらず、同社が一方的にケアプランの作成を拒否し、利用者を放置した」という悪質なものだ。しかも裁判所はその事実に対して被害者側の言い分を認めず、「ニチイ学館側には問題なし」と判断した。なぜこんなことが起きてしまったのだろうか?