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イオン家電、保湿効果やうるおいは無関係?度重なる改善命令でも誇大広告消えないワケ

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イオン家電、保湿効果やうるおいは無関係?度重なる改善命令でも誇大広告消えないワケの画像1「Thinkstock」より
●払拭されていないマイナスイオンのブランドイメージ

 2013年6月、テレビショッピング番組で紹介された漬け物容器に関して、消費者庁は販売会社に対し、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に基づく措置命令を出した。(http://www.caa.go.jp/representation/pdf/130627premiums.pdf)

 「電気石タウマリン」を含んだ陶器から出る遠赤外線と「マイナス電子」が、容器内の乳酸菌の増殖を早め、通常のホーロー容器に比べて、短時間でおいしい漬け物ができるという触れ込みだった。

 もちろん、そんな説明に科学的な根拠はない。遠赤外線が菌の増殖を促進するというのも怪しいが、「電気石タウマリン」や「マイナス電子」に至っては、他でほとんど聞かない名前の物質だ。恐らく「トルマリン」と「マイナスイオン」に独自の名称を付けたのだろう。

 そもそも「マイナスイオン」も以前から「ニセ科学」の代表的な存在とされてきた。とはいっても、今でも「健康にいい」ものと思っている人がかなりいるのも事実。「ニセ科学批判」の情報が届いていない層は、まだまだ多いのが現状だ。

 1990年代末から2000年代前半にかけて、「空気のビタミン」などと呼ばれたこともある「マイナスイオン」は、「健康にいい」とか、「癒し効果がある」などとテレビや雑誌でもてはやされた。だが、人によってその定義すら異なるなど、多くの疑問が呈されていたものだ。発生源も滝や森林、トルマリンから、プラズマ放電・コロナ放電に至るまで多岐にわたっており、結局のところ、喧伝されたような「健康効果」は確認されなかった。

 さらに、マイナスイオンの効果を謳って販売された製品には、たびたび行政からチェックが入ってもいる。03年には健康器具が薬事法違反に問われ、06年には複数の会社が景品表示法に基づく指導を受けた。

 だが、マイナスイオンは家電製品の機能として生き残った。当初はオールマイティな「健康効果」を宣伝していたメーカーも、次第に放電による「消臭」や「除菌」といった効果に絞っていったのだ。だが、それで十分だった。一時のブームが去ったとはいえ、「マイナスイオンは健康にいい」というイメージは広く消費者に定着していたからだ。

 結局、「マイナスイオンとはなんだったのか?」という問題を棚上げにして、昔のイメージのまま定着してしまったというのが実態だ。しかも、日本を代表する大手家電メーカーが堂々と発売しているのだから、まさか「科学的な根拠がない」とは思いもよらない。

●多様化するイオン式ヘアドライヤー

 イオン発生機能を搭載した家電といえば、空気清浄機やエアコンなどの空調機器のイメージも強いが、普及度という点から見るとヘアドライヤーのほうが上だろう。11年度の国内販売台数約580万台のうち、7割以上がイオン機能付きの機種だといわれている。普段、気にせずに使っている機種も、よく見るとイオン機能付きかもしれない。

 かつてはトルマリン粉末を混ぜただけのものもあったが、最近のイオン発生機は、プラズマ放電や静電霧化といった技術で空気中の水分子を帯電させるなどの改良が加えられている。さらに、メーカーが開発した発生方式を備えた製品に、「ナノイー」(パナソニック)、「プラズマクラスターイオン」(シャープ)、「ピコイオン」(東芝ホームアプライアンス)、「ナノイオン」(日立リビングサプライ)など、独自の名称をつけているところも多い。これらはイオンの名称ではないし、基本的なメカニズムは、マイナスイオンとさほど変わらない。

 それでは、ヘアドライヤーに搭載された「イオン機能」にはどのような効果があるのか? よくいわれているのが「保湿効果と静電気防止効果」だ。さらに、各メーカーのカタログやホームページを見ると、「髪の水分バランスを整える」「キューティクルを引き締め」「艶のある髪に」といった表現が多用されているし、「皮脂をケア」して「地肌にうるおい」を与えるなどとも書かれている。

 最近の機種の説明を読むと、放出されたイオンと結合した空気中の水分子が、髪の毛としっかり結びつくのだとか。メーカーによる実証検査のデータも公表されているので、効果は確かにあるようにも見える。だが、そうした「保湿効果」や「うるおい」がイオンによるものかどうか、判然としない面もある。イオンとは関係なく、風量や温度調整などの機能によるものではないかという意見もある。ちなみに、もう一つの「静電気防止効果」については、特に問題視されてはいないようだ。

●性能表示に東京都が改善要請

BusinessJournal編集部

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