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業績好調企業増の中、なぜ不振の企業や業界多い?円安やコスト増、海外勢の台頭が仇に

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ソニー本社(「Wikipedia」より/Shuichi Aizawa)
 上場企業の業績が好調だ。2014年3月期の業績見通しを上方修正する企業が相次いでいる。円安で輸出採算が改善しているほか、景気回復を背景に個人消費が伸び、内需企業の業績を押し上げている。円安で海外部門の収益が改善した鉄鋼や、株価回復で株式や投資信託の売買手数料が増えた証券などが代表例だ。

 一方で円安のデメリットに苦しんでいる業種もある。空運は円安に伴う輸入燃料高が響き、利益が減った。ゴム製品も輸入する原材料高を受け、減益となった。

●ソニー

「資産売却が本業」と揶揄されるほど業績低迷で苦戦中なのがソニーである。その低迷を象徴するのが、「VAIO(バイオ)」ブランドで展開してきたパソコン事業からの撤退である。1997年に登場したVAIOには、ソニーが誇る映像や音響の最新技術がつぎ込まれた。独特の色使いと洗練されたデザインは、米アップルの創業者であるスティーブ・ジョブスにも影響を与えたといわれている。

 しかし、最近はスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)の普及でパソコン市場が縮小し、VAIOの販売低迷が続いていた。低迷からの出口が見えないことから、みずほ銀行系の投資ファンド・日本産業パートナーズが設立する受け皿会社に売却する。トリニトロンカラーテレビでソニーの黄金時代を築いたテレビ事業は、7月をメドに分社化する。テレビは完全子会社として続ける方針だが、10年間に及び営業赤字(14年3月期は250億円の赤字予想)のテレビ事業を分社化したとしても、すぐに黒字化するのは難しい。

 また、ソニーは創業地である御殿山地区(東京・品川区)の旧本社ビルを売却する。売却後、同地区には「ソニー歴史資料館」が残るだけとなり、かつて「ソニー村」と呼ばれた当時の面影は完全に失われる。昨年には米ニューヨークの米国本社ビルやJR大崎駅近くのオフィスビルのほか、医療情報を提供する子会社・エムスリー株式の一部を売却するなど資産の売却を加速させた。

 資産を売却して売却益の積み上げに邁進している理由は、12年4月に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した平井一夫氏が必達の目標として掲げる黒字化だ。昨年8月に公表した14年3月期の営業利益は2300億円、純利益は500億円だった。だが、昨年10月に見通しを大幅に引き下げ、営業利益を1700億円、純利益は300億円とした。さらに今年2月に再び下方修正した。営業利益は800億円、純利益は黒字見通しから一転して1100億円の赤字に転落する。黒字化を公約していたテレビなどエレクトロニクス事業が、円安という絶大な追い風があったにもかかわらず今期も赤字から抜け出すことができなかったからだ。

 電機大手8社の中で純損益の通期見通しが赤字なのはソニーだけ。今年1月、米格付け会社・ムーディーズはソニーの長期信用格付けを投機的水準に引き下げたが、ソニーが投資不適格の評価を受けるのは初めてのことだ。