●ファナック
日本を代表する超高収益企業であるファナックの業績の足を引っ張ったのは中国市場だ。13年4~12月期の純利益は前年同期比19%減の770億円だった。14年3月期は同16%減の1010億円となる見込み。
工作機械の頭脳となる数値制御(NC)装置で6割の世界シェアを握るファクトリーオートメーション(FA)部門や、産業用ロボット部門は堅調だった。12年に盛り上がったスマホ向け部品加工機械が特需の反動が出て落ち込んだ。主力の自動化機器で中国市場の回復が遅れたことが響いた。
●航空業界
航空業界では、全日本空輸(ANA)の持ち株会社であるANAホールディングスの13年4~12月期の純利益が、同36%減の333億円となった。14年3月期通期の純利益も65%減の150億円の見通しだ。コストの約4分の1を占める燃料費が、円安の影響で前年に比べて25%増加したことが利益を圧迫した。
同業の日本航空(JAL)も13年4~12月期の純利益は同12%減の1235億円と、円安に伴って燃料価格が上昇したことから減益となった。14年3月期の最終利益は法人税等調整額150億円などを見込むため、1480億円に上方修正した。
●製薬業界
製薬業界では、アステラス製薬の13年4~12月期純利益が、前年同期比4%減の814億円だった。海外で医療用医薬品の販売は伸びたが、円安で販売促進費や開発費が増加。研究体制の再編などに伴う特別損失が膨らんだ。14年3月期通期の純利益は同15%増の950億円とみている。
同業のエーザイの13年4~12月期の純利益も、前年同期比13%減の294億円。そのため、14年3月期の純利益の見通しを、同20%減の385億円に下方修正した。従来予想(10%増の532億円)を147億円下回り、一転して3期連続の最終減益となる。円安で海外での医療用医薬品の新製品の販売促進費が増え、希望退職募集に伴う割増退職金など特別損失の計上も響く。
●造船業界
造船業界では、日立造船の13年4~12月期の最終損益が45億円の赤字(前年同期は1億8500万円の赤字)となった。同社は毎年、公共工事などの支払いが集中する年度末に多額の利益を計上するため、通期では黒字に転換するが、それでも14年3月期の純利益は前期比60%減の30億円へ下方修正した。従来予想は1%増の75億円を見込んでいたが減益となる。国内の建設需要の好調を受けて鋼材などの資材が高騰し、人手不足から労務費も上昇し、利益率が低下した。
三井造船の13年4~12月期の営業利益は、前期比9%減の172億円の減益となった。機械部門が減益となったのが原因だ。営業利益は減少したものの、為替利益と持分法による投資利益が増加したことで、純利益は同26%増の105億円となった。14年3月期の純利益は黒字に転換する見込みだ。
●化学業界
化学業界では、三井化学の13年4~12月の最終損益が184億円の赤字(前年同期は97億円の赤字)で、赤字幅が拡大した。14年3月期通期の最終損益も230億円の赤字(前期は81億円の赤字)の見込み。従来予想は10億円の黒字だったが、構造改革費用として206億円を計上することで赤字に転落する。最終赤字は3期連続だ。
三井化学は、ポリウレタン材料を製造する鹿島工場(茨城県)を16年12月末をメドに閉鎖する。自動車用シートやクッション材の原料を製造販売してきたが、中国など安価な海外製品が台頭する中、価格転嫁が困難で採算が取れなくなった。他工場も一部設備を停止する。国内で化学原料を製造し輸出で稼ぐ構造を見直し、需要の高い地域で生産して、即供給する体制を構築する。
●JIN
均一料金のアイウェア(眼鏡)ショップを展開しているジェイアイエヌ(JIN)は、14年8月期の純利益見通しを同64%減の12億円に下方修正した。従来予想である14%増の39億円から一転して減益となる。前年度にパソコン用眼鏡「JINS PC」が大ヒットした反動で、既存店の売り上げが大幅減となったのが響いた。
日本経済の本格回復のためには、広い業界で数多く存在する業績不振企業の回復が必要といえよう。
(文=編集部)