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百貨店業界、なぜ消費増税でも回復鮮明? 異彩放つ銀座三越、外国人対応先行が功奏

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銀座三越(「Wikipedia」より/Kakidai)
 百貨店業界が回復の兆しを見せ始めている。2013年の全国百貨店の年間売上高は1997年以来、16年ぶりにプラスに転じた。アベノミクス効果による景気回復への期待感から、バッグや宝飾品、時計などの高額品が売れた。4月の消費増税前の駆け込み需要により、3月の全国百貨店の売上高は既存店ベースで前年同月比25.4%増となった。伸び率は前回消費増税前の97年3月(23.0%増)を上回り、消費税導入前の89年3月(35.3%増)以来、25年ぶりの高い伸び率を記録した。駆け込み需要が高額商品に集中したことを物語る。

 増税後は駆け込み需要の反動減が出る。4月の百貨店売り上げのマイナス幅はどのくらいかという点に、注目が集まっていた。マイナス幅が1ケタ台であれば影響なし、同2ケタ台でも10%台前半であればまずまずで、マイナス幅は20%を超えると予想する向きもあった。結果は、大手百貨店の4月の既存店売上高(速報、既存店ベース)は全社そろってマイナスとなったが、反動減が想定より小幅にとどまり百貨店各社は胸を撫で下ろした。

銀座三越は、外国人観光客受け入れ対応を強化

 異彩を放っているのが、銀座三越だ。各店がそろってマイナスとなる中で、1.1%増と前年を上回った。3月は36.7%増と大きく膨らんだが、反動減を吸収してプラスを維持した。

 プラスに貢献したのは外国人観光客である。訪日外国人による免税品(菓子、食品、化粧品、医薬品などは免税対象外)の売り上げが前年同月比93%増と大幅に増えたことが寄与した。免税品の売り上げが売り上げ全体に占める割合は10%程度と、初めて2ケタ台に乗った。

 三越伊勢丹ホールディングス(HD)は12年から免税手続きの世界最大手グローバルブルー(スイス)と提携し、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越に免税店を設けた。外国人観光客が多いのは、やはり銀座である。13年に入ると、銀座店の免税品の売上高は前年比2倍のペースで伸びていった。円安基調や国を挙げた訪日観光客増加策に加え、他社に先駆けて取り組んできた外国人客の受け入れ体制が実を結んだ。13年11月から同店は1階正面入り口に「外国語対応カウンター」を新設。英語や中国語を話せるスタッフを配置した。

 20年の東京五輪開催が決まり、免税ビジネスが沸き立っている。免税店舗の増加、免税制度の体制整備、言語対応、決済対応など、今後、増加が予想される訪日外国人の受け入れ体制の整備が進むことになる。東京五輪に向けて外国人観光客の数はもっと増える。銀座店は免税ビジネスという宝の山を掘り当てたといえそうだ。

●大手百貨店各社、3~4月累計売上高は前年同期比増を確保

 4月の売り上げ減少幅が最も小さかったのは三越伊勢丹HD傘下の三越伊勢丹(9店、グループ百貨店10店除く)で、前年同月比7.9%減。3月は駆け込み需要で22.6%増の2ケタ増となったが、反動減は1ケタだった。4月の速報だと旗艦3店では日本橋三越本店が14.7%減と2ケタ減となったが、伊勢丹新宿店は7.9%減と1ケタ減にとどまり、銀座三越は1.1%のプラスだった。
                  
 J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店(15店、グループ百貨店3店除く)の売上高(建て替え中の松坂屋銀座店を除く)は同15.3%減。3月は36.2%増と大丸松坂屋百貨店に統合後では最大の伸びを記録した反動が出た。旧松坂屋の本店である名古屋店は3月の売り上げが57.2%増と、消費税が5%になる直前の97年3月以来の高い伸びを記録した反動で、4月には18.3%減と大きく落ち込んだ。