そんな日本代表の懸念材料とみられているのが、エース本田圭佑の不調だ。所属する伊名門クラブ・ACミランでも不調なままシーズンを終え、前出2試合での本田の動きに対して厳しい見方も多く、コスタリカ戦で得点を挙げた香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)は、本田について「もっと(調子が)上がってくると思いますし、得点は取れてないけれど、攻撃の感覚は良くなっていると思う」と語り、本調子ではないことを暗に認める発言をしている。
本田の不調を受け、日本代表のザッケローニ監督は本田不在の布陣でW杯を戦うことも選択肢に入れているとの報道もあり、その場合、これまでほぼ固定されてきた布陣を見直す必要があるため、日本代表は厳しい戦いを強いられる懸念もあるという。
その本田について6月2日付日刊スポーツは、昨年12月に頸部(けいぶ/首の付け根付近)の手術を受け、約10cm、メスを入れていたと報じ話題を呼んだ。同紙は具体的な病名には触れていないが、6月5日発売の「週刊文春」(文藝春秋/6月12日号)は、その病名についてバセドウ病ではないかと報じている。バセドウ病とは甲状腺ホルモンが正常でなくなり、身体が疲労を感じやすくなるなどの症状が出る病気だが、同誌によれば、本田は昨年1月頃から発熱や嘔吐を繰り返し、眼球が出たように人相が変わるなどの体調不良に陥っていたという。そこで本田はW杯のために、腫れている甲状腺の摘出手術を受けたと報じている。
不調と手術の関係は?
では、現在の本田の不調と、その手術に何か関係はあるのだろうか。産業医は次のように語る。
「摘出手術を行えばホルモン異常は解消されて徐々に症状は消え、身体も発病前の正常な状態に戻るとされています。しかし、これはあくまで一般の人が日常生活を送れるようになるという話です。本田さんのような身体を酷使するアスリートが、発病前とまったく同じレベルのパフォーマンスを発揮できるのかという話になると、非常に微妙な身体の変化も影響してくる可能性もありますので、一概にはなんともいえません」
また、本田の不調についてスポーツ紙記者は、次のように楽観視しているという。
「たしかに直近2試合を見る限り、本田は本調子ではなく、“本田らしくない”プレーが目立っているように見受けられます。しかし、そこは世界を舞台に活躍している本田。今はW杯に向けていろいろと試している段階で、本番を迎える時には最高のコンディションに仕上げてくるでしょう。ですので、あまり悲観していません」
W杯で日本代表はどこまで上位にくい込むことができるのか、そのカギを握る“エース本田”の復活を、日本中が待ち望んでいる。
(文=編集部)