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雪国まいたけ、創業家が経営陣を排除 不正経理の改善報告書を反故、上場廃止の懸念も

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「Thinkstock」より
 新潟県南魚沼市には全国ブランドが2つある。ブランド米「魚沼産コシヒカリ」と並び称されるのが「雪国まいたけ」だ。

 キノコ生産大手の雪国まいたけ(東証2部上場)が6月27日に開いた株主総会で、創業家によって経営陣が排除される騒動があった。

 会社提案の取締役人事案は、星名光男社長ら7人の取締役の再任だったが、大株主の1人である大平安夫氏から取締役人選の動議が出された。動議は取締役7人のうち、星名氏を含む6人を入れ替えるという内容だ。

 この動議は賛成多数で可決され、星名氏らは取締役を退任することになった。会社側提案のうち、再任が認められた1人は就任を辞退し、動議に基づき6人が取締役に就いた。

 会長兼社長には、元本田技研工業専務でNEW DEVICE代表取締役の鈴木克郎氏が就任。東亜燃料工業(現東燃ゼネラル石油)社長や日本銀行政策委員会審議委員を務めた中原伸之氏、人工雪のベンチャー企業のスノーヴァ(現アドバックス)元社長・大塚政尚氏が社外取締役に就いた。

 大平安夫氏は、創業者で前社長の大平喜信氏の実弟。喜信氏は雪国まいたけ株式の21.97%を直接保有するほか、資産管理会社や一族分を合算すると議決権のある株式のうち67.33%を所有しており、同社は喜信氏を「支配株主」と公表している。圧倒的な株式を支配する創業家一族の鶴の一声で取締役が総入れ替えされたのだ。

●上場廃止の懸念も

 喜信氏は現在の南魚沼市の農家の長男に生まれた。地元中学校を卒業後、工務店や磁石工場などに勤務。1975年に大平もやし店を創業。83年に雪国まいたけを設立。独自のマイタケ製造技術を開発して業界初のマイタケの量産に成功した。

 ニュービジネスとして高く評価され、歌手・郷ひろみを起用したテレビCMが話題になり、全国ブランドとなった。一時は、シェア6割を占めるトップ企業に成長した。

 だが、昨年8月、証券取引等監視委員会の立ち入り検査で不正経理が指摘され、弁護士らで構成する調査委員会の調べで総額14億円の不正会計処理があったことが発覚した。

 その責任を取り、喜信氏は11月に社長を辞任。後任社長にイオンの執行役員を務めた星名氏が就いた。星名氏ら経営陣は、調査委員会の調査結果を踏まえ、東証に「創業家兼大株主の影響を受けないようにする」と明記した改善報告書を提出した。

 この報告書を創業家外しと判断した大平氏一族が、株主権を行使して経営陣のクビをすげ替えたというのが真相だ。しかし、事態は創業家による経営権の奪還だけで収まりそうもない。

 上場企業が創業家の一存で、事実上、提出した改善報告書を反故にしたことを、東証はどう判断するのか。さらなる改善報告の提出を求め、それでも改善が認められない場合には上場廃止もあり得るだろう。今後の動きを注視したい。
(文=編集部)