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ベネッセ流出事件、通信教育業界勢力図にどう影響?“流出先”ジャスト社はIT化で先行

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『進研ゼミ小学講座 チャレンジ1ねんせい入学の準備国語・算数ワーク 2015年度入学用 基礎編』(ベネッセコーポレーション)
 通信教育サービス大手、ベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件で、流出したデータを利用して営業活動を行っていたジャストシステムへの風当たりが強くなってきている。

 ジャストシステムは2014年5月に名簿業者の文献社から257万3068件のデータを購入。6月にそのデータを利用してダイレクトメール(DM)を発送したことを明らかにした。そして「ベネッセから流出した情報だと認識したうえで利用した事実はない」と説明したが、名簿業者からのデータ購入に際しては、出所を聞かない・言わないのが一般的。情報の出所について知らなかったとしても、ライバル企業の保有する個人情報を使ってDMを送付していたことに批判が集まっている。ジャストシステムは文書作成ソフト「一太郎」依存から脱け出し、通信教育事業に軸足を移している最中であり、ライバル企業の顧客を利用して営業活動を行っていたことでイメージダウンは避けられず、業績への影響も懸念される。

●一太郎がもたらしたワープロソフトのガラパゴス化

 ジャストシステムは浮川和宣・初子夫妻が1979年、徳島市で創業した。81年に法人化し、85年8月に開発したのが一太郎。浮川氏が学生時代に家庭教師をしていて病死した中学生の名前、太郎にちなんで一太郎と命名した。一太郎は大ベストセラーとなり、日本語ワープロの代名詞ともなった。日本語入力する時の、スペースキーでかな漢字変換、リターンキーで変換確定というスタイルは一太郎独特の操作法だ。

 一太郎の前に立ち塞がったのが米マイクロソフト(MS)の「Word」である。MSの「Windows95」が世に出たのはインターネット元年といわれる95年で、新興IT企業の群雄割拠状態から抜け出て基本ソフト(OS)の世界標準になったのがWindowsだった。世界中のパソコンの9割以上がOSにWindowsを採用した。日本語変換機能に関して一太郎はWordよりも優れているという評価が一般的だが、WindowsをOSの世界標準にしたMSはWindowsとWordの抱き合わせ販売によって、一太郎のシェアを奪っていった。

 一太郎の最大の特徴は縦書きのための機能が充実していること。映画やテレビのドラマの原作・脚本を手がける脚本家は一太郎で執筆している人が多い。また、官公庁や一部の企業では公文書作成のために一太郎を標準のワープロソフトに指定している。

 一太郎は日本語ワープロとしての機能を充実させたため、世界的な規格から離れてしまうという皮肉な結果を招いた。日本の携帯電話と同じように一太郎は、日本だけでしか通用しないガラパゴス化したともいえる。

●IT化で先行するジャストシステム

 経営が悪化したジャストシステムは09年4月、東証1部上場のFAセンサーなど計測制御機器メーカー、キーエンスの傘下に入り、創業者である浮川夫妻は経営から退いた。脱・一太郎を目指し2年をかけて通信教育事業の企画・開発に注力し、他社に先駆けて子供に人気の高いタブレット(多機能携帯端末)を使った新商品を開発。12年11月からタブレットを使った小学生向けの通信教育システム「スマイルゼミ」で通信教育事業に参入した。