スパイ活動、特許…日本企業の技術情報が韓国企業にダダ漏れ!?
(「wikipedia」より)
東京大学大学院ものづくり経営研究センター特任研究員で、かつてサムスン電子で常務を務めたこともある吉川良三氏は、韓国メーカーの強さの原因について、商品開発段階における効率性にもっぱら焦点を当てているが、実はそれ以前の研究段階でも、韓国メーカーは後発の優位性を最大限に利用している。この点は日本企業の特許戦略とかかわっているのだが、ある家電企業の技術者は、次のように実態を話す。
「日本の大手企業の研究所は、基礎研究から商品化までさまざまな段階の研究をしている。最近でこそ商品化に必須な重要技術は、ブラックボックス化を念頭に置いて特許申請をしなくなったが、以前はなんでもかんでも特許を取っていた。今でも自社での生産を取りやめた開発案件の特許なども含めて、特許の申請件数は多く、ライバル企業から見れば、その会社の開発戦略、商品化戦略、何を推進しているのか? 取りやめたのか?」
彼が言うには、韓国企業はほとんど公開されている日本企業の特許情報を詳細に分析し、日本メーカーが将来性なしとして商品化をやめたもの、すなわち無駄となる研究開発投資を省く一方、自社の商品開発に有効と思われる特許を拾い上げ、その特許をいかに潜り抜けるか研究するのだという。潜り抜けないまでも、有機ELのように、多くの日本企業は開発をやめたが、韓国企業が有望と思われるものは開発を継続するという場合もある。
開発段階のことだけではない。製造段階でも、こういう事態が起きている。
仮に完成品をばらして、その性能や機構を解明しても、またモジュール化時代に入り基幹部品が手に入りやすくなったとはいっても、製品づくりにはおのずと別の問題が残る。生産技術や生産システムの問題である。これをクリアすることなしには、効率的に、かつ安定した品質の製品を送り出せない。
●サムスンの工場は日本人技術者だらけ!?
この点について興味深い話を聞いたことがある。
サムスンはじめ韓国企業や中国企業に、バブル崩壊以降、選択と集中の名の下に早期退職などで放逐された日本人技術者が、多数ヘッドハンティングされ、働いていることはよく知られている。雇用期間は2年とか4年とか比較的短期だが、年俸は1000万円、2000万円といったケースも少なくないという。
そうした1人でサムスン電子に誘われたある大手家電メーカーのOBは、韓国内の工場に行ってみて驚いたという。そこにはかつての同僚たち、それも開発エンジニアだけでなく、生産関係の技術者までワンセットでスカウトされていたからである。
2004年に、ソニーが経済産業省等の反対を押し切り、液晶生産でサムスンと提携した結果、ソニーの技術が大量に韓国に流出したという話も家電業界ではもっぱらである。
こうしてみると特許から、製品開発、そして製造まで、日本の技術はほぼ完璧に、韓国メーカーに流出していることがわかる。
しかしここまでは、少なくとも合法的である。実は技術流出という点では、もっとリアルでそれこそ産業スパイ的な行為が行われた、あるいは行われているのではないかと疑う関係者も少なくない。
例えば、実際に日本国内の工作機メーカーで働く中国人技術者が、先端工作機技術の設計図をコピーして中国に送ったとして逮捕された事件などが起きている。