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サントリー、ビール事業分社化で50年目の独り立ち 世界戦略本格化への序章

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サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」
 サントリーホールディングス(HD)は10月1日付で、ウイスキーやビールを手掛けるサントリー酒類からビール事業を切り離し、新会社サントリービールを発足させた。サントリー酒類はウイスキーや低アルコール飲料(RTD)など蒸留酒の事業会社となり、今年5月に米ビーム社を買収して発足したビームサントリーの傘下に入る。

 この事業再編は、サントリーHD会長兼社長だった佐治信忠氏が会長専任になり、同日付でローソン前会長の新浪剛史氏が社長に就任するのに合わせて実施されたが、佐治氏がスカウトした新浪氏に期待しているのは、サントリーをグローバル企業へ成長させることである。

 8月の顧問就任以来、新浪氏は国内外の拠点を回り、問題点の洗い出しに着手した。2009年9月に3500億円で買収した仏飲料メーカー、オランジーナ・シュウェップス・グループやビームサントリーなど約30カ所を回った。

 最大の経営課題は、1兆6000億円で買収したビームとの相乗効果を最大限に引き出すことだ。ビーム買収でサントリーの売り上げは2兆5000億円まで増えるが、目標とする4兆円はまだ遠い。ロシアやインドなどの新興国でウイスキーなどの販売を拡大する海外展開の加速が求められている。ウイスキーを主体とする蒸留酒事業とビール事業では、扱う製品はもとより、マーケットのあり方も異なる。ウイスキーが主に海外市場をターゲットにしているのに対して、ビールは国内市場での戦いという違いがある。新浪新体制は、グローバル市場で世界大手と競うことになる。国内向けが中心のビール事業を切り離す分社化は、真のグローバル企業を目指す体制づくりに欠かせない第一歩となる。

●ビール事業独り立ち


 国内事業では、サントリービールに注目が集まる。サントリーは1963年にビール事業に参入したものの、赤字続きで低迷。長い間、稼ぎ頭のウイスキー依存の状態だった。ビール事業の分社化は、同事業がやっと独り立ちできるまでに成長したことを意味する。サントリービール誕生の背景には、高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」(プレモル)の成功がある。プレモルは05年にベルギーに本拠を置く国際的な品質評価機関モンドセレクションのビール部門で日本勢初の最高金賞を受賞し、参入から45年後の08年に初めてビール事業は黒字に転換した。この時の年間シェアは12.4%で、サッポロビールを抜き、初の3位となった。

 この間、ビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の国内市場は2極化が進んだ。市場全体を牽引したのは、価格の安さで消費者の支持を集めた第3のビール。サントリーは第3のビール「金麦」がヒットし、高級ビールのプレモルと2枚看板で好調を持続した。

 14年上期(1~6月)のメーカー別シェアは、アサヒビールが前年同期比1.0%増の38.1%で5年連続の首位。キリンビールが1.9%減の33.1%、サントリー酒類が0.4%増の15.5%、サッポロビールが0.5%増の12.4%、沖縄のオリオンビールが横ばいの0.9%だった。キリンはビールで一人負けしたことが響き、売り上げを落とした。キリンHDの同期の売上高は前年同期比3.6%減の1兆562億円。対してサントリーHDは5月に米ビーム社を買収したことが寄与して、18.0%増の1兆1089億円。キリンを527億円上回り、初めて首位に立った。海外での大型M&Aの効果は絶大である。