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武田薬品に異変 なぜ業界の盟主は陥落?6年で利益8割減、成果出ない大型M&A

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武田薬品工業東京本社(「Wikipedia」より/Lombroso)
 創業が1781年の製薬業界の盟主、武田薬品工業と、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して発足したアステラス製薬の業績が明暗を分けている。アステラスは合併から10年、15年3月期の純利益で武田薬品を初めて上回る。

 武田の15年3月期連結純利益(国際会計基準)は、前期比39%減の650億円になる見通し。従来予想を200億円下方修正した。海外で血液がん治療薬「ベルケイド」などが伸びるが、研究開発費の税務上の処理方法を見直したため、税負担が増す。武田の売上収益(売上高に相当)は2%増の1兆7250億円を据え置いた。米国で昨年発売した潰瘍性大腸炎治療薬「エンティビオ」などの新薬が好調で、主力薬の特許切れで不振の国内を海外が補う。

 対するアステラス製薬は4月24日、15年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比49%増の1358億円だったと発表した。売上高は9%増の1兆2472億円だった。欧米で前立腺がん治療薬「イクスタンジ」や過活動ぼうこう治療薬「ベタニス」などの販売が伸び、後発薬の普及や薬価改定で減収となった国内を補った。5月11日に15年3月期決算の正式発表を予定している。連結純利益でアステラスが武田の2倍になった。13年3月期には5752億円、14年同期には5817億円の差があった売上高でも4778億円の差にまで縮小した。2年間で、およそ1000億円追いついたことになる。

 15年3月期の業績は武田が下方修正したのに対して、アステラスが上振れし、アステラスが武田薬品を突き放した。

 昨年10月、アステラスの時価総額が武田を逆転したと話題になった。その後、武田が再逆転したが、15年3月期の純利益でアステラスが武田に大差をつければ、再々逆転があるかもしれない。

●明暗を分けた海外M&A


 リーマンショック直前の08年3月期連結純利益(当時は日本基準)は、武田が3554億円、アステラスは1774億円と2倍の差があった。15年3月期の純利益はアステラスが08年3月期の過去最高益に迫る勢いなのに対して、武田のそれは08年3月期実績の2割弱にとどまる見通しだ。8割目減りしたことになる。

 両社の明暗を分けたのは海外M&Aだ。武田は08年に米ミレニアム・ファーマシューティカルズを約9000億円で買収。ミレニアムが生み出す薬をがん領域の中核と位置付け、がん領域で世界トップスリーを目指すとした。武田は11年にもスイスの製薬会社ナイコメッドを約1兆1000億円で買収した。

 大型買収が相次いだのは、糖尿病治療薬「アクトス」や高血圧治療薬「ブロプレス」などの大型薬が11年以降、特許切れを迎えるためだった。だが、期待した大型新薬はこれまでのところ出ていない。