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埼玉の地域スーパー・ヤオコー、なぜ巨人イオンを凌駕?26期連続増益、常識破りの経営

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ヤオコー本社(「Wikipedia」より/QBK)
 埼玉県を地盤にする地域食品スーパーヤオコーが5月11日に発表した2015年3月期連結決算は、売上高に当たる営業収益が前期比12.1%増の3074億円、営業利益が同12.3%増の135億円、最終利益が同10.2%増の78億円だった。これで同社は食品スーパー事業単体では26期連続増収増益、連結でも23期連続増益を達成した。同日発表した16年3月期の業績予想も増収増益。当分の間、同社の快走は止まりそうにない。

「流通業界の王者」イオンが3期連続の営業減益、2期連続の最終減益(15年2月期)に沈没したのと対照的だ。ヤオコーの食品スーパー事業売上高は2960億円(15年3月期)。対してイオンの食品スーパー事業に該当する「SM・DS・小売店事業」売上高は2兆1612億円で営業利益は84億円だった。売上高はイオンの7分の1程度だが、営業利益はイオンを上回っている。同じ事業で、どうしてこれだけの差がついてしまったのか。

 背景を探ってゆくと、同社の快走要因はイオンの中央集権事業モデルと対照的な個店経営事業モデルとパート店員活用の差にあることがわかった。

値段ではなく、料理の提案力で勝負する異色スーパー

 ヤオコーと同業他社の違いを特徴づけているのが、現場の「食生活提案型売り場」といえる。

 店舗ごとに異なる品揃え、具体的な料理案を提示するなどの「食生活提案」は多岐にわたる。価格で勝負するのではなく、「ヤオコーへ行けば、今日の晩ご飯のアイデアが浮かんでくる」と言われるぐらい、提案力で勝負している。

 店内至る所に食材の調理法を知らせるPOPを設置し、買い気をそそる仕掛けを施している。品揃えもまた然り。値段の安い食品を並べて集客し、少々高くても手が伸びる食品を充実させるなど、価格帯の幅が広い品揃えが同社の特徴だ。

 例えば、生鮮食品売り場では94円均一の豚肉、鮮魚、野菜などを平台にずらりと並べる一方、1枚(180g)1380円の黒毛和牛切身や1尾1280円の金目鯛も並べている。食卓に「ちょっと贅沢な一品追加」を誘う仕掛けだ。さらに、精肉や鮮魚売り場には店員が立ち、料理の相談に乗ったり調理法の説明をしているのも同社の特徴だ。他の食品スーパーで、こうした光景は見られない。

 また、料理の実演で「今日の晩ご飯」を提案する「クッキングサポート」は、今や同社の名物コーナーだ。同業他社との最大差別化ポイントにもなっている。15年以上の年月をかけて磨き上げてきた同コーナーのノウハウは、どこも真似ができないといわれる。